F1のレジェンドであるニキ・ラウンダは、2019年にメルセデスとともにF1パドックに復帰することを示唆した。3度のF1ワールドチャンピオンであり、メルセデスF1の非常勤取締役としてチーム運営の役割を果たしてきたニキ・ラウダ(69歳)は、今年8月に肺の深刻な疾患を抱えて肺移植の手術を受けた。2ヵ月の入院とリハビリを実施したことで残りのシーズンはF1バドックに姿を見せることはできなかった。
ニキ・ラウダは、肺の移植手術は1976年のF1ドイツGPで遭遇した恐ろしいクラッシュよりもひどい経験だったと語る。ニュルブルクリンクで開催されたレースでクラッシュしたニキ・ラウダは、マシンが炎上して頭部に大火傷と肺に深刻なダメージを負い、生死の境を迷った。しかし、事故発生から6週間後のF1イタリアGPで奇跡のレース復帰を果たし、4位入賞を果たしている。FRP製のボディーワークが燃えて発生した有毒ガスを吸い込んだため、1997年と2005年に腎臓移植を受けている。「ドイツで事故に遭ったときに問題だったのはほんの1か月程度だった。火傷を負って焼かれてしまったが、すぐに退院することができた。今回は本当に長かったが、今はここにいる」とニキ・ラウダは Gazzetta dello Sport にコメント。「とても厳しいことはわかっていた。そういった状況でできることは一つだ。戦うことだ。怖いと思ったことは一度もない。スペシャリスト達に身を委ねたからね。どんな時でも戦ってきたし、今もそうしている」また、ニキ・ラウダは、入院中にセバスチャン・ベッテルから届いた直筆の手紙に感銘を受けたと明かした。「セバスチャンが送ってくれた手紙は本当にうれしかった。彼自身の手で書いてくれた前向きな言葉と愛情のある思いやりに満ちた手紙だった」とニキ・ラウダは語る。「手紙をもらえるなんて考えてもいなかった。ドライバーというのは運転するだけで、通常そういったことはしないからね。彼は人として素晴らしい」セバスチャン・ベッテルは、2018年に強力なスタートを切り、前半戦はチャンピオンシップをリードしていた。しかし、中盤以降はフェラーリとベッテルのミスが重なったことにより、最終的にルイス・ハミルトンにタイトル連覇を許している。イタリアメディアは、セバスチャン・ベッテルがフェラーリのドライバーとしての適性に疑問を呈しが、ニコ・ラウダはそのような見方は“馬鹿げている”と語る。「彼は落胆しているだろうし、我々もそれはわかっている。だが、疑問を呈するなど馬鹿げている」とニキ・ラウダはコメント。「彼は調子を取り戻すだろう。チャンピオンがドライビングを忘れるようなことはない。彼はこれまでのように強くなって戻ってくるだろうし、2019年もハミルトンのライバルであるはずだ」それでも、ニキ・ラウダは、今年のルイス・ハミルトンには本当に感銘を受けたと語る。「彼は見事だった。フェラーリはしばしば我々よりも優れていたので、彼にとって最も勝つのが難しいチャンピオンシップだった。だが、彼はひとつのミスも起こさなかった」ニキ・ラウダは、ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルのタイトル争いをテレビで見るために早く回復することを目標としていたと語る。「一つのGPも見逃さなかった。週末にはガレージに電話をかけた。彼らは何が起きているのかいつも私に話してくれた。みんなとコースサイドにいるような感覚だった。長年一緒に働いてきた人たちの暖かさを再発見したと言うべきだろう。いいやつばかりでみんな心配してくれた」ニキ・ラウダは、2019年にメルセデスとともにF1パドックに復帰することを目指していると語る。イビザで休養しているニキ・ラウダは「ここの空気は綺麗だし、気候もオーストリアほど悪くはない」とコメント。「2日前まで入院していた。そのあと自宅に戻ることを許可され、イビザの自宅へと移動した。愛情深い素晴らしい家族と一緒にクリスマスを過ごすつもりだ」「医師からは1カ月で完全に健康になり、再び通常の生活に戻ることができる言われている。以前のようにレースにいくつもりだ。そうしない理由はない」