メルセデスは、チームの公式サイトに“ファンへの手紙”と題した文章を掲載し、F1ロシアGPで直面したトラブルについて説明。ネットに広がる陰謀説を払拭することが狙いのようだ。F1ロシアGPの予選では、ルイス・ハミルトンに前回と同じMGU-Hの問題が発生。レースでも水漏れが起きたことで、ネット上ではチームがニコ・ロズベルグを優遇しているのではないかという陰謀説が囁かれている。
ロシアではニコ・ロズベルグもMGU-Kのトラブルに見舞われていたが、それでも開幕から4連勝を飾っている。メルセデスは手紙の中で、両ドライバーがレース中に遭遇したトラブルの詳細を説明し、問題の理解と修正に努力していることを強調した。 メルセデスの説明によると、ニコ・ロズベルグのMGU-Kにトラブルが発生したのはルイス・ハミルトンのトラブルより前だったといい、レース終盤にロズベルグがファステストラップを記録したときも、マシンは“セーフモード”のままだったと述べた。メルセデスは「ピットストップから程なくして、ニコのMGU-Hに警戒するべき反応がみられるようになった」と解説。「我々は、何周にもわたってルイスとは十分なギャップがあるので、少し緩めても大丈夫だと伝え続けた。その後、ようやくFIAから許可が下りて問題をコントロールできるセッティングに切り替える指示が可能となった」「ニコは、ピットウォールのストレスなどまったく気づいていなかったことだろう。レース残り2周でファステストを出したときも、彼はその“セーフ”セッティングのままだった。ここから先週末の我々のマシンがいかにペース面で優れていたかがわかる」ルイス・ハミルトンの水圧問題については、フィニッシュできたこと自体が“奇跡”だっと表現した。「ニコのトラブルが発覚して間もなく、ルイスのマシンの水圧が下がり始めた。この時、彼はニコを捕えて、キミ(ライコネン)を引き離そうと懸命にプッシュしていた。その過程でパープル(最速)のタイムを出していた」「ここでも我々はFIAの許可を待ってから彼に状況を伝えなければならなかった。イージーな走りをするように何度か呼び掛けていたが、ようやく水圧が低下してきていることを彼に無線で伝えても良いという許可が出た」 「残り16周の時点での数値はゼロだった! それにもかかわらず、マシンを労わりながら持ち帰り、2位を維持した彼の働きは本当に見事だった。可能な限りマシンを冷やし、エンジンのダメージを避けながら、なおかつキミとの安全な距離を保つことが必要だった。至難の業といえよう。どのような奇跡によってマシンがフィニッシュラインまでたどり着けたのはわからないが、当然ながら我々に文句などあるはずがない」 また、手紙にではメルセデスのチームメンバーに対する賛辞もあり、彼らがロズベルグを贔屓しているという一部の声を牽制している。「トラックに来ている人々は氷山の一角に過ぎない。だが、彼らはこの組織を代表する完璧な一例だ」「ピットストップを行うだけではない。彼らは全員で一緒に旅をして、部屋をシェアし、食事をし、ガレージを建設し、マシンを作り、壊れたマシンを修理し、スペアを揃え、大量の積み荷を紐解く。全員で一緒に汗をかき、緊張し、笑い、泣き、叫び、悲鳴を上げ、祝い、同情する。毎週のように驚くべき仕事をこなしている世界最高のメンバーだ。「彼らはチームのためにそれをやってくれている。どちらかのドライバーのためではなく、お互いのためだ。ここには“A”チームや“B”チームはない。クルーのメンバーは、みんなが自らの働きによってエリートと呼ばれるにふさわしい地位を勝ち得た。そして、そのために多くの犠牲を払ってきている」
全文を読む