ルイス・ハミルトンは、F1オーストリアGPで犯した大きなミスにより、チャンピオンシップリーダーであるチームメイトにその差をさらに7ポイント広げられた。2014年シーズンの半分近くを終え、ランキング首位に立つチームメイトのニコ・ロズベルグとハミルトンのギャップは29ポイントとなった。そんな中、メルセデスがニコ・ロズベルグを積極的に支持しているのではないかという陰謀説が囁かれている。F1オーストリアGPの決勝レースで、ルイス・ハミルトンがニコ・ロズベルグに対し、2回のピットストップでほぼ2秒を失ったは偶然ではない...
ニコ・ロズベルグと比較してクルーの仕事が遅れたことについて聞かれたルイス・ハミルトンは「僕には分からない」とコメント。「フィードバックを見てみなければならない。ピットストップについてチームが何て言うのかもね。あちこちでで0.1秒を削っていくために全力を尽くしているので、タイムを失うのはフラストレーションが溜まる。2回のピットストップで2秒ものロスがあれば厳しい」初期の分析では、1回目のピットストップではルイス・ハミルトンによるマシンのポジショニングが悪く、2回目のピット作業ではホイールリムの問題でスローダウンしていたようだ。 メルセデスにとって、より緊急の問題は競技面であることに疑いはない。6週間前のスペインGPでは50秒もの大差をつけて勝利したメルセデスだが、モナコではレッドブルのダニエル・リカルドが同等のペースを発揮していた。 ダニエル・リカルドはF1カナダGPで優勝し、続くF1オーストリアGPではウィナーのニコ・ロズベルグに、ウィリアムズのバルテリ・ボッタスが8秒差まで迫った。メルセデスのクリスチャン・ヴォルフは、ガレージのニコ・ロズベルグ側とルイス・ハミルトン側でライバル関係がヒートアップしていることが、もっと団結した他チームの接近を許したと認めている。 「我々一番のプライオリティは2人をお互いに競わせることだ。彼らのレベルは極めて近いところにあり、外部から水を差したくはないし、どちらか一つの方向に操作したくない。したがって、状況はイコールでなければならない。それは確実だ」 「それにもかかわらず、オーストリアGPの土曜日にはチームにちょっとした時間が訪れた。フリー走行3回目の後の我々は良い状態ではなかったし、雰囲気は以前のレースとは違っていた」「非常に競争的になりつつあり、透明性がやや損なわれている。それがチームにとって有害になるようなことは確実に避けなければならない。我々は完全に集中し、一緒になって働き、グループ全体としての知識を必要としている。ドライバー、エンジニア、そしてガレージの両サイドの知識をね」 「それこそ我々が維持しようと望んでいるスピリットだ。今後数戦で勝つだけではなく、これから数年コンペティティブでありたい。だからこそ、全てのレースで学ぶ必要がある。そして、学ぶためにはお互いオープンで透明性のある働き方をしなければならない」 トト・ヴォルフは、両ドライバーと各エンジニアが、それぞれのタイトル争いを見るのではなく、もっと大きな絵を見る必要があることを理解していれると信じている。 「透明性とは、とにかく意見やクルマに行っていることを交換し、互いに学んで行くことだ。当然、そこをかなり慎重に見ていく必要がある」「どこでクルマを改善できるか理解する必要があり、クルマに何ができるかを示しているラップを最後の予選までとっておきたくはない。それが一例だ」「実際にそれが起こったと言っているわけではないが、クルマについて学ぶ必要があるときに、だまし討ちや中断したラップを見たくはない。ドライバーだけではなく、ひとつのチームの一部である、非常にコンペティティブな2つのクルーの問題だ」「彼らも競争意識が高い状態になっている。ドライバーの第一の課題はドライバーズチャンピオンシップでの優勝であり、我々の一番の課題はコンストラクターズ選手権で勝つことだ。そして、ドライバーの一人がドライバーズ選手権で勝てるようにすることだ」 F1オーストリアGPでは、ウィリアムズがメルセデスに接近し、予選ではフロントロー独占さえ成し遂げた。その理由は、F1カナダGPで起きた信頼性トラブルを受けてメルセデスがパフォーマンスを抑え目に調整したからだとの見方がある。メルセデスの非常勤会長を務めるニキ・ラウダは、その調整はオーストリアで“1周あたりコンマ2秒”の影響しかなかったと述べた。「モントリオールで我々が手にしていたリードがほぼゼロまで縮んだのを驚きをもって注目した」とニキ・ラウダは Auto Motor und Sport に述べた。「ウィリアムズはレースの大部分で我々と同じスピードを持っていた。我々が彼らを破ったのは、戦略とタイヤ摩耗が優れていただけだ。今は警鐘が鳴っている状態だ」
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