マクラーレンのCEOザク・ブラウンは、F1チーム間の関係強化や共同出資の動きに対して、改めて強い懸念を示した。とりわけ、メルセデスがアルピーヌF1チームの少数株取得に関心を示している状況について、「スポーツの公平性を損なうリスクがある」と警告している。すでにメルセデスは今季からアルピーヌにパワーユニットを供給しており、仮に資本関係まで加われば両者の結びつきはさらに強まる。
ブラウンはこうした流れが、F1全体の競争構造に影響を及ぼす可能性を問題視している。「A/Bチーム構造は避けるべき」ブラウンの一貫した立場ブラウンは以前から、チーム間の共同所有や“姉妹チーム”のような関係に反対してきた。レッドブルとレーシングブルズの関係についても、繰り返し懸念を表明している。「我々の考えはまったく変わっていない。こうしたモデルからは、できるだけ早く、できるだけ遠ざかる必要がある」とブラウンは語った。「現代のF1でそれが許されるのであれば、スポーツの公平性が損なわれる重大なリスクがある」“11の独立チーム”という前提が崩れるリスクブラウンは、ファンの信頼という観点からも問題を指摘する。「ファンが望んでいるのは、11の独立したチームが競い合う姿だ。それが崩れれば興味を失うことになる」その具体例として、2024年シンガポールGPでダニエル・リカルドがファステストラップポイントを獲得し、結果的に別チームに影響を与えた事例を挙げた。さらに、過去の技術的な問題や人材移動にも言及する。「アストンマーティン/レーシングポイントのブレーキダクト問題のような知的財産の問題もあった。スタッフが一晩で移籍するケースもある」「その際、我々は待たされるか、あるいは金銭的な調整を求められる。それはコスト上限にも影響する」資本関係と人材共有がもたらす“不公平”ブラウンは、チーム間の人材移動や技術共有が、競争上の不公平につながると指摘する。「補償なしで人材が行き来する場合、それは財務面でもスポーツ面でも不公平なアドバンテージになる」「フェラーリとハースの間でも人材の行き来があるが、知的財産は頭の中にも存在する」こうした構造は、単なる協力関係の範囲を超え、競争の前提そのものを揺るがしかねないという見方だ。サッカーを例にした“利益相反”の危険性ブラウンはサッカーを引き合いに出し、同一オーナーによる複数チーム運営の問題点を説明した。「プレミアリーグで同じオーナーの2チームが対戦し、一方は負けても問題なく、もう一方は降格がかかっている状況を想像してほしい」「それが我々が直面し得るリスクだ」PU供給以上の関係は不要と主張ブラウンは、チーム間の関係はパワーユニット供給に留めるべきだと強調する。「エンジンサプライヤーとしての関係が限界であるべきだ」「すべてのチームは、可能な限り独立している必要がある。それがスポーツの健全性を守る唯一の方法だ」なお、この主張は特定のチームを名指ししたものではないとしつつも、メルセデスによるアルピーヌ株式取得の動きについて問われると、「誰であっても同じだ」と明言した。チーム間の結びつきが強まる現在のF1において、ブラウンの警鐘は、今後のガバナンスやレギュレーション議論に影響を与える可能性がある。