マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリが、2025年F1ラスベガスGP決勝後の車検で技術規定に違反していたことが確認され、正式に失格処分となった。両マシンの後部スキッドブロックの摩耗が、規定である最小9mmを下回っていたためで、スチュワードは重大な違反として最終リザルトから除外した。
これにより、レースを制したマックス・フェルスタッペンはドライバーズ選手権で大きく前進し、オスカー・ピアストリと同点の366ポイントに到達。首位ランド・ノリスとの差は24ポイントまで縮まり、残り2戦とスプリント1回の計58ポイントでタイトル争いはさらに緊迫する展開となった。■ 明確な技術違反と再測定での“さらなる不足”スチュワード文書によれば、レース後に実施された詳細検査の段階で、マクラーレンMCL39の後部スキッドブロックが規定値を下回っていることが技術部門によって確認された。その後、マクラーレンの代表3名が立ち会う再測定が実施されたが、数値は初期測定よりもさらに低いものであり、規定違反が決定的となったと明記されている。規定は2025年F1技術規則第3.5.9条に基づくもので、スキッドブロックの厚みは新品で10mm±0.2mm、摩耗後でも最低9mmを維持する必要がある。スチュワードはチーム側の主張を受けたものの、測定結果が覆らない以上、失格以外の裁定はあり得ないと判断した。■ マクラーレンの主張は却下 “意図的ではない”とFIAマクラーレンは「予想外の強いポーポイズ現象」「初日の悪天候による走行制限」「短縮されたプラクティスによるセットアップ不足」を理由に挙げ、状況には“情状酌量の余地がある”と訴えた。しかしスチュワードはこれを退け、最終的に失格処分を決断。一方でFIAは違反が「意図的に規則を回避するためのものではない」と強調し、チームに不正の意図がなかったことも公式文書に記した。なお、今季はすでにルイス・ハミルトン(フェラーリ)やニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)がスキッドブロック関連で失格となっており、2025年シーズンでは3例目の発生となる。■ 失格前のノリスのレース:燃料系トラブルで終盤に大幅後退ポールポジションからスタートしたランド・ノリスは、ターン1で強引にフェルスタッペンをブロックしたものの、ブレーキングをミスしてワイドに膨らみ3番手へ後退。その後追い上げて2番手に戻ったが、終盤には燃料に関する懸念から“リフト・アンド・コースト”を繰り返し、ペースを落としていた。「何が問題だったのか正直わからない。チームから“いくつかトラブルがあるからペースを落とせ”と言われただけで、詳しくはこれから確認する」とノリスはレース後に語っていたが、失格によりこの順位も無効となった。■ ピアストリも失格 序盤の接触と追い上げが水泡に一方のオスカー・ピアストリは、スタート直後のターン1でリアム・ローソンとの軽い接触により7番手まで後退。そこから着実に追い上げ、キミ・アントネッリに科された5秒加算ペナルティの影響もあり4位でフィニッシュしたかに見えた。「1周目はとにかく大荒れだったし、その後のミスも自分を助けなかった。でもチームの戦略がレースを立て直してくれた」と述べ、悔しさを滲ませていた。しかしこの順位も正式結果では抹消され、両者そろってレースから除外されることとなった。■ タイトル争いは三つ巴のまま最終盤へ今回の失格により、ドライバーズ選手権は一気に緊迫度が増した。首位ランド・ノリスはポイントを失うことなく390点のままだが、マックス・フェルスタッペンとオスカー・ピアストリがともに366点で並び、残り2戦とスプリント1回の計58ポイントで三つ巴の争いに突入した。ラスベガスでの大波乱は、シーズン終盤のドラマをさらに加速させることになりそうだ。
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