マクラーレンとルノーのF1エンジン契約の鍵を握るのはカルロス・サインツかもしれない。マクラーレンが、2018年F1シーズンにホンダからルノーにエンジンを変更することを望んでいるのは明らかだが、そこにはマクラーレン、ホンダ、ルノー、トロ・ロッソ、レッドブルが絡む“複雑”な状況が存在している。
マクラーレンがルノーを搭載できるかは、現在、ルノーのパワーユニットを搭載するトロ・ロッソがホンダとの提携に納得するかにかかっている。ルノーは供給先を4チームに拡大することを拒否しており、ルノーの供給枠が空かなければ、マクラーレンはルノーを獲得できない。また、マクラーレンがホンダとの決別を選んだ場合、ホンダはF1から締め出されることになる。トロ・ロッソは、F1イタリアGPの週末が終わるまでにホンダとの2018年のF1エンジン契約についての交渉がまとまることを望んでいた。モンツァでは、マクラーレン、ホンダ、ルノー、トロ・ロッソ、レッドブルの上層部が一連の会談を行ったが、状況は未解決のままとなった。しかし、そこにFIAとF1の首脳陣が介入してとされ、今後48時間で最後のジクソーパズルのピースが揃い、契約が進む可能性が高まっている。マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは、この案件は簡単ではないと認めるが、F1にホンダが留まるための解決策がまとまることを期待していると語る。「複雑な状況だ。マクラーレンにとってだけでなく、F1にとっても最適なことをしたいと思っているからね」とエリック・ブーリエは Autosport にコメント。「どんなことが起こったとしても、パドックの全ての関係者と良好な共同作業があるし、我々全員が状況を最大限に生かそうとしている」「だが、私がこれ以上のコメントをすることはない」マクラーレンのエグゼクティブディレクターを務めるザク・ブラウンは、ホンダとトロ・ロッソとの状況が確定すれば、ルノーとの契約が締結される可能性があることを示唆しつつも、何も保証はされていないと語る。「様々なシナリオがある。その2社に何かが起こるかどうかは全員が聞きたがっているシナリオだ。だが、そのシナリオだかではない」ザク・ブラウンは、最終的に“全員が笑顔”になる“理想的なシナリオ”が達成されることを期待していると付け加えた。この件には、供給の問題以外にも、契約の早期終了にいる補てんの支払いに関する問題があるとされている。別のシナリオとして、ルノーがトロ・ロッソへの供給契約を早期に終了させることへの引き換えに、トロ・ロッソのカルロス・サインツを手に入れたがっているとされている。今年のF1イギリスGPの週末には、カルロス・サインツがルノーに移籍するとの噂が流れた。レッドブルは、2018年もカルロス・サインツと契約を結んでいるが、適切な金額オファーがあれば、移籍を容認する旨の発言をしている。エリック・ブーリエは、将来のエンジンサプライヤーの決定の遅れが2018年F1マシンに影響を及ぼし始めていると述べた。「我々が何をし、どこに進むのかを知る必要がある。もう来年のクルマの設計に問題が出てくるタイミングだ」とエリック・ブーリエは付け加えた。