マクラーレン・ホンダはやはり今年も駄目か・・・2017年シーズンの初テストはそう感じずにはいられないスタートとなった。新レギュレーション、オレンジの新カラーリング、ホンダの新型F1パワーユニット。ニューマシン『MCL32』で臨んだ初のプレシーズンテストでのマクラーレン・ホンダの期待は出鼻をくじかれた。
初日にインスタレーションラップを終えたフェルナンド・アロンソのオイルシステムに不具合が見つかり、その後7時間ガレージで作業。アロンソはわずか29周しか走行できなかった。そして、2日目にもストフェル・バンドーンのパワーユニットの電源が落ちるという“原因不明”のトラブルが発生。早速、スペインの AS は「マクラーレンはホンダとの契約解消を検討している」と報じ、マクラレーンのエリック・ブーリエとホンダの長谷川祐介は火消しに追われた。実際、マクラーレンとホンダには亀裂が入ったとの見方もある。ホンダの新型パワーユニットは失敗とされ、マクラーレンのフラストレーションが、ピットガレージからの怒号となって聞こえてきたと報じられている。クルーのジェスチャーやボディランゲージには諦めと苛立ちが見え、笑顔はほとんど見られなかった。エリック・ブーリエは初日後、ガレージ内に「プレートが投げ込まれた」とジョークで述べてが、冗談には受け止められなかった。1回目のプレシーズンテストは、ラップタイムは決して重要ではない。だが、走り出しから速いクルマは、その後シーズンも速く、その逆もまたしかり。少なくとも開幕戦の展開は予想ができる。メルセデスのバルテリ・ボッタスが1分19秒705を叩き出したのに対し、マクラーレン・ホンダのベストタイムはストフェル・バンドーンの1分22秒576。タイヤは同じウルトラソフトだが、スタートで2.8秒の差がついた。では、初回テストで重要とされる信頼性ではどうか。もはや言わずもがな。バルテリ・ボッタスが一人で324周を走行に対して、マクラーレン・ホンダは二人の合計で208周。他のエンジンメーカーの3分の1以下。それが最も気がかりな点と言える。今回のテストの多くの問題はホンダのパワーユニットにあるが、決してマクラーレンのシャシーも優れてるわけではない。テストを取材したペドロ・デ・ラ・ロサは「予想していたよりもマクラーレンはナーバスだ。フェルナンド(アロンソ)が理想よりもはるかにステアリングホイールを操作しているのが目についた。クルマはターン1とターン5で不安定だったし、ホイールがロックする傾向にある」と述べている。だが、シャシーを真剣に評価し、煮詰めていくためには、まずはエンジンがスピードを上げる必要があるのも確かだ。これらの結果を受けて海外メディアも厳しい見出しでマクラーレン・ホンダの現状を伝えている。「3年が過ぎたが、マクラーレンとホンダはいったいどうなっているのだ?」と El Confidencial。スペインの Marca は「マクラーレン・ホンダの悪夢は続く」、AS は「マクラーレン・ホンダは昨年よりも周回数が少なく、悪くなっている」と伝えた。マクラーレンのエリック・ブーリエは「トラブルは全て修復可能」「MCL32のシャシーは優れている」「2016年よりもずっと良いポジションにいる」と決して壊滅的な状況ではないと主張しているが、長谷川祐介は2日目の原因不明のトラブルに「深刻な問題」だと危機感を募らせ、メルボルン・スペックのエンジンに影響が及ぶ可能性を示唆している。それでも、マクラーレン・ホンダはトップ3以外との差はまだ1秒以内程度。同じく問題を抱えたトロ・ロッソがどこまで持ち直してくるかにもよるが、2回目のテストでは開幕戦へ向けて“下位争い”から抜け出せることを期待したい。
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