フェリペ・マッサが、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでフェラーリF2008をドライブし、「2008年のF1ワールドチャンピオンは自分だった」と半ば冗談交じりに語ったことで、再び“あの年”への注目が集まっている。現在44歳のマッサは、2008年のF1シンガポールGPで起きた「クラッシュゲート」事件が自身のタイトル争いに不当な影響を及ぼしたとして、F1とFIA、そして当時の最高責任者バーニー・エクレストンに対する法的措置を継続中だ。
問題の発端は、ルノーがチームメイトのフェルナンド・アロンソを勝たせるためにネルソン・ピケJr.に故意のクラッシュを指示したとされるスキャンダル。マッサはこのレースでピットストップに失敗し13位に沈み、タイトル獲得の大きなチャンスを失った。「もしあのレースの結果が無効になっていれば、自分がチャンピオンだった」とするマッサの主張は、F1界に今なお波紋を呼んでいる。「フェラーリ最後のドライバーズ王者は僕だった」2008年シーズン最終戦の母国ブラジルGPで、一時はチャンピオンに手が届いたかに見えたマッサ。しかし、最終ラップでマクラーレンのルイス・ハミルトンがトヨタのティモ・グロックをかわして5位に入り、1ポイント差で逆転タイトルを奪取した。そんな“惜敗の年”のマシン、フェラーリF2008を再びドライブしたマッサは次のように語った。「2008年のクルマを久しぶりにドライブできて本当に最高の気分だ。フェラーリで長く戦えたことは素晴らしい経験だったし、あれが間違いなく僕のベストシーズンだった」「僕たちはこのクルマで5回…いや6回勝った。フェラーリにとって最後のコンストラクターズタイトルを獲得した年だったし、僕のタイトルもあの年だったと言いたい」「とにかく、グッドウッドでこの瞬間を迎えられて本当に嬉しいよ。ここに集まるファンの皆さんは素晴らしいし、このクルマをまたドライブできるなんて信じられない気分だ」フェラーリは2008年、キミ・ライコネンとマッサのコンビで計8勝を挙げ、マクラーレンのハミルトンとヘイキ・コバライネンの6勝を上回っていた。久々のF2008、まるで“帰ってきたような感覚”「まるで家に帰ってきたような気分だったよ」とマッサは続ける。「ポジションは少し違ってたけどね。ちょっと重くなったから。でも実際はそこまで悪くなかったし、シートも意外とフィットした」「再びこのクルマをドライブできて、本当に素晴らしい体験だった」マッサは2017年末にF1から引退したが、「2008年の真実」に対する執念は今も消えていない。今回の“半ば冗談”は、彼の信念と情熱がいまだに燃え続けていることの表れだ。