マノーがリオ・ハリアントに代えてエステバン・オコンの起用を決定したことで、シーズン後半はメルセデスのトップジュニアドライバー2人の同じ器材による対決が見られることになる。メルセデスは、レッドブル型の正式なジュニアドライバープログラムを運営していないが、パスカル・ウェーレインをF3時代からサポートし、DTMチャンピオン、そしてF1ドライバーへと育て上げた。
2014年、マックス・フェルスタッペンとの契約を確保できなかったメルセデスは、ヨーロッパF3でタイトルを獲得したエステバン・オコンを支援することを決定した。フランス出身のエステバン・オコンは、メルセデスのジュニアドライバーとして昨年のGP3を制し、今年DTMへのステップアップ。また新生ルノーワークスのリザーブドライバーとしてレンタルに出され、金曜フリー走行に出走させている。メルセデスは、パスカル・ウェーレインとエステバン・オコンを、2018年末に契約が終了するルイス・ハミルトン/ニコ・ロズベルグ時代の次の潜在的な候補として訓練しているのかもしれない。メルセデスは、レッドブルのようなジュニアチームは持っていないが、エンジン供給のコストをさらに相殺することと引き換えに、事実上トロ・ロッソの独自版を作り上げた。これにより、メルセデスは少なくとも今シーズンの残りの期間で次世代のポテンシャルをより評価することができる。初シーズンでオーストリアでポイントを獲得したことを含め、パスカル・ウェーレインがここまで素晴らしい仕事をしているのは疑いのないこところだが、予選では同じくルーキーでF1テスト経験の少ないリオ・ハリアントに4度負けている。(Q1でタイムを記録する前に脱落した中国GPを除く)GP2で4シーズンを過ごしたリオ・ハリアントと比較してサーキットの知識が不足していると言うことはできるが、おそらくメルセデスはパスカル・ウェーレインが土曜日にもっと優勢であることを期待していただろう。リオ・ハリアントは予選が強くないことを認めており、ウェーレイン/オコン/フェルスタッペンのように評価が高かったわけではない。パスカル・ウェーレインと同じチームにエステバン・オコンを置くことによって、メルセデスは同一条件でパスカル・ウェーレインがどれくらい速いかを評価することができる。2017年はパワーユニットを供給するフォース・インディアもしくはウィリアムズに空席ができる可能性があるため、パスカル・ウェーレインをグリッドのより高い位置に置くためのよりはっきりとしたアイデアが得られるはずだ。一方、エステバン・オコンは、マノーで印象的なパフォーマンスを示すことで、自分にルノーの正ドライバーになる価値があることを証明するチャンスを得ることになった。これの合意は、全ての関係者にとって利益となる。メルセデスは2人のジュニアドライバーをきとんと評価する機会を得る。ルノーは、切望するフランス出身のエステバン・オコンを起用するべきかを判断する機会を得る。そして、マノーはF1で競争するためのコストを下げられるだけでなく、リオ・ハリアントでは達成できなかった大きな結果を残すための強力なドライバーラインナップを手に入れた。そしてF1ファンも、同じチームでの2人の若い才能の直接対決を目にする機会を得ることができる。
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