ランド・ノリス(マクラーレン)は、2025年F1メキシコGPの予選で圧倒的な走りを見せ、自身今季5回目のポールポジションを獲得した。しかし、決勝に向けては「簡単には勝てないと思っている」と慎重な姿勢を示した。ノリスはオートドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われた予選で、フェラーリのシャルル・ルクレールに0.262秒差をつける1分15秒586をマーク。ベルギーGP以来となるポールポジションを手にした。今週末を通して好調なパフォーマンスを発揮しており、マシンの安定感にも手応えを感じているようだ。
「ポールに戻れてうれしい。けっこう長い間なかったから、いい気分だ」とノリスは語った。「ラップについては正直よく分からないけど、悪くなかったと思った。ラインを通過して1分15秒5と見た時は、とても驚いた。FP3からQ1、Q2、Q3まで全体的に調子が良かったし、フェラーリ勢が最後に速かったので少し緊張したけど、必要な時にしっかり決められてうれしい」ノリスは予選を通じて「倒すべき男」として注目を集めたが、決勝では1コーナーまでのロングランがカギになると見ている。「いろんなシナリオを考えて眠れなくなるほどではないよ」と笑ったノリス。「最近あまりよく眠れてないんだけど、それが鍵なのかもね(笑)。これまでここでは良いレースができているから、自分がコントロールできることに集中するだけだ」今回の予選では、チームメイトでタイトル争いをしているオスカー・ピアストリが8番手(サインツのペナルティにより7番グリッド)と対照的な結果となった。ドライバーズランキングでは、ピアストリがノリスに14ポイント差をつけて首位に立っており、5番手スタートのマックス・フェルスタッペンとは26ポイント差となっている。ノリスにとっては、このメキシコでタイトル争いの流れを変える絶好のチャンスだ。「僕は勝つためにここにいる」とノリスは断言した。「後ろには速いドライバーが控えているし、ターン1までは長いストレートがある。フェラーリのレースペースはいつも強いから、簡単にはいかないと思っている。前だけを見て、どれだけ差を広げられるか挑戦したい」分析:メキシコ高地で試されるマクラーレンの持久力今回の予選でノリスが示した速さは、マクラーレンMCL39の単発ペースの強さを象徴している。FP3から一貫してリズムをつかみ、特にセクター2の低速区間での安定感が光った。一方で決勝では、標高2,200mを超える薄い空気による冷却負荷とドラッグ効率の問題が浮上する見込みだ。マクラーレン勢は今季、ハイダウンフォース寄りのパッケージで好成績を収めてきたが、メキシコでは空力効率の低下が顕著になる。ノリス自身が「簡単ではない」と語る背景には、この特有の高地コンディションへの懸念がある。さらに、ターン1までの800m以上のロングランは、スリップストリーム効果によって2番手以降の追撃を許しやすい。ノリスがホールショットを守れるかが、レース展開の鍵を握るだろう。後方からフェラーリ勢、フェルスタッペンが迫るなか、序盤の防衛とタイヤマネジメントが勝利の分かれ目となる。