ランド・ノリス(マクラーレン)は、2026年から導入されるF1新ルールに対して強い危機感を示した。可変フロント/リアウイングを用いたアクティブエアロがDRSに代わって採用されるが、ノリスは「台本通りの展開は望まない」と警告し、F1が“偽りのレース”へと変わることを懸念している。
史上最大の技術的刷新を迎えるF1は、マシンとパワーユニットを同時に一新。小型化・軽量化された新型マシンは、内燃機関と電力を50/50で分担するパワーユニットを搭載する。そして最大の特徴となるのが、アクティブエアロによるモード切替だ。コーナーではハイダウンフォースの「Zモード」、ストレートでは低ドラッグの「Xモード」を使用する。しかしノリスは、この仕組みがF1本来の魅力を失わせる危険性を指摘する。「違うものだ。良い意味でも違うし、悪い意味でも違う」とノリスはPlanetF1.comなどに語った。「F1はモータースポーツの頂点であり、スピードという点ではここ数年はこれ以上ないほどだったと思う。来年はギャップが広がるだろうが、それが必ずしもレースを悪化させるとは限らない。改善する要素もある」「ただ、あまりに人工的になるのは嫌だ。あまりに“偽り”や“台本通り”になってしまうのは正しくない。それはモータースポーツではないし、僕が望むものでもない」ノリスは新ルールの下でマシンが迫力を欠く可能性を危惧している。「マシンはストレートでもコーナーでも遅くなる。ラップの見栄えは落ちるだろう。ストレートエンドではスピードを失い、減速しているように見えるから、特別な迫力はなくなる」「もっとバッテリーが欲しいとか、もっと普通の要素が欲しいとか、まだ求めるものはある。でも新しい挑戦であることは確かだ。僕ら全員にとって新しいマシンと新しいレギュレーションに挑むのは楽しみだし、F1の魅力でもある。チームとしても歓迎しているし、僕らドライバーは純粋に走れるマシンを望んでいる」一方でF1のCEOステファノ・ドメニカリは、こうした懸念の声に対し冷静さを求めた。「まずは起こっていることを理解する姿勢が必要だ。今日のF1には多くの仮説があり、あらゆることが語られている。重要なのは過剰に反応しないことだ」とThe Raceに語った。「すぐに調整を行う必要はない。我々には時間があり、FIAやチームと議論していく中で欠けているものがあれば修正できる。すでに新ルールを利用して開発を進めているチームやメーカーもあるかもしれない。最初のレースに大きな注目が集まるのは間違いないが、我々は十分に時間をかけて見極める必要がある」