マクラーレンのランド・ノリスは、今年モナコで獲得した衝撃的なポールポジションが、これまでのF1キャリアにおける「唯一の感情的瞬間」であり、昨シーズンの待望の初優勝となったマイアミGPの喜びをも上回る出来事だったと明かした。現在、チームメイトのオスカー・ピアストリと熾烈なタイトル争いを繰り広げているノリスは、レースにおける心理面について語り、F1で最も難しい舞台のひとつで自身を証明できたことがキャリア最大の高揚感をもたらしたと打ち明けた。
2019年にF1デビューを果たして以来、ノリスは数々の挫折と成功を経験してきた。しかしYouTubeチャンネル「Quadcast」に出演した際、彼は長年待ち望んだマイアミでの初勝利でさえ、自身の感情の壁を破ることはできなかったと率直に語った。「僕は感情的にならないんだ。泣きたい時も泣けない。マイアミでは泣きたかったけど泣けなかった!」とノリスは明かした。「唯一感情的になったのはモナコのポールだ。自分自身に証明できた時…僕は人生を通してそうやってきた」「ほとんどのことはメンタルなんだ。それが一番難しい部分だと思う。だから僕にとって一番幸せなのは、自分自身に何かを証明できた時。僕はそうやって突き動かされ、成功してきたんだ」「まだやれる」と証明ノリスは、今季の予選パフォーマンスがこれまでほど安定しておらず、マクラーレンが勝利を狙えるチームに成長する中で、時に自分を疑うこともあったと認めた。「今年は、これまでに比べて予選がちょっと悪くて、少し苦しんでいるんだ…」「時々、自分に問いかけることがある。『去年ほど速くないんじゃないか?ちょっと衰えたのか?それとも正しいフィーリングを得られていないのか?』って」そうした背景が、モナコを特別なものにしたのだと彼は説明した。「現実的に考えると、僕は世界最高レベルのドライバーたちと戦っているんだ。すべてが完璧じゃなければポールなんて取れない」「モナコに行った時、一年で最も難しいサーキットで、簡単に何かが間違う場所だ…あそこでは予選が世界で最も重要なんだ」「僕は走り出して、『まだやれる』って証明した。それは僕にとって本当にクールな瞬間だった」ノリスは、精神的な苦悩を公にする姿勢について批判する声もあるが、本人はその正直さを貫いている。浮き沈みの激しいシーズンを経ながらも、ノリスはピアストリにわずか9ポイント差で続いており、残り10戦のタイトル争いは最後まで続きそうだ。ノリスにとってモナコでの感情的な瞬間は、苦しみや疑念の中でも、勝負どころで輝きを放てることを示す確かな証明となった。