桜井孝太郎が、3月29日〜31日にシルバーストン・サーキットで開催された第2回GP3公式テストにカーリン・モータースポーツから参加した。先日、イギリスF3選手権ルーキークラスへの参加を表明した桜井孝太郎は、東北・北関東大震災を滞在先の英国のTVニュースで知り、家族の安否を心配して急遽、一時帰国。レース継続の意志が固まると同時に再び渡英し、カーリン・モータースポーツのオフィスを訪れ、第2回GP3公式テストへの参加を願い出た。
前回のポールリカールのテストで桜井孝太郎選手に好感触を得ていたチーム代表のトレバー・カーリン氏は、多くの候補者の中から最終的に桜井孝太郎を選び、今回シルバーストンで開催された第2回GP3公式テスト参加が実現した。用意されたマシンには、カーリン・モータースポーツからの気持ちの現れとして、『PRAY FOR JAPAN(日本のために祈ります)』と書かれた大きな日の丸が貼られた。3日間に渡るGP3公式テストには各国の若手精鋭30名のドライバーが参加。ウェットとドライが入り交じった難しいコンディションの中、連日のように何度となく赤旗が出される荒れたテストとなった。桜井孝太郎は、初日の午前中のセッションではチームメイトの2010年ドイツF3チャンピオン、トム・ドールマンやインディ・ライツで活躍中のコナー・デイリーよりも速いラップタイムをマーク。ニュー・タイヤでのアタックには苦しんだが、ユーズド・タイヤを履いてのアタックでは、つねにトップ10に入るパフォーマンスをアピールした。2日目は本格的なウェット路面でのテスト。桜井孝太郎は、F3とはまた異なった出力特性のターボ・エンジンにとまどいながらも攻め続けたが、11回のスピン、コースアウトを喫し、最下位に沈んだ。本人としては内容としては満足できたものの、タイムシートのうえでは納得のいかない一日となった。3日目最終日、午前中だけで10回近く赤旗が出て、まったくタイヤを温める時間がないセッションとなったが、桜井孝太郎はチームの信頼を取り戻すべく着実に周回を重ね、指示されたセットアップ・メニューを予定どおりこなし。午後のセッションでは天候が急速に回復。午後の走行開始早々再びチームメイトのコナーのタイムを上回りトップ10へ。その後は路面のミューが急激に高まった反面、それにドライビングを合わせることに苦戦を強いたが、大きなアクシデントもなく、自身にとって通算3度目、今年2回目のGP3テストを無事終え、チームからも再び高い評価を得た。桜井孝太郎「自分にとってもの凄くチャレンジングな3日間でした。周りのF3チャンピオンドライバー達と比べると、路面のミューが低い時は車の向きを上手くスピードで変えられていましたがミューが上がってくると自分の思ったタイミングで曲げたい角度で曲がらなかったので苦しみましたが、たった2回だけ乗ったF3の経験が生きている事を実感できた3日間でした。この3日間、常に今の日本の事を考えていましたし、日本で戦っている人の事を考えるとチャレンジするしかない、攻めるしか無いと思って走りました。その気持ちが皆さんのもとに届いたなら嬉しいです。今はGP3で経験した事を4日後にあるスネッタートンでのF3のテストで生かし、また新たなテクニックを身につけたいと思っています。僕にもなぜ日本にこれほどひどい事が起こったか解りませんが、この先きっと良い事が起きると、今、僕は信じています。皆さんも一緒に、チームジャパンで心をひとつにして頑張りましょう」
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