桜井孝太郎が、4月22〜25日にイギリスのオウルトンパーク・サーキットで開催されたイギリスF3選手権(第4〜6戦)に、ハイテック・モータースポーツから参戦した。先週イタリアのモンツア・サーキットで開催されたイギリスF3選手権開幕戦での宙に舞う大事故によってマシンが全損し、今週のイベントへの参戦を危ぶまれていた桜井孝太郎だが、ハイテック・モータースポーツの驚異的な努力とメカニックの数日に渡る徹夜仕事によって、無事、木曜日の夜にはオウルトンパーク・サーキットにマシンが到着し、参戦可能な状態となった。
金曜日のフリー走行は、またしても実質的なシェイクダウンという状況で、コースを半周したところで燃料系のトラブルによってストップ。午後のセッションにすべてを委ねることになった。午後のセッションは順調に周回を重ね無事初日を終えた。土曜日の予選では、2周を走ったところでステアリングトラブルが発生。操舵角の異変によってスピンを喫した桜井孝太郎は、そのままマシンを降りることになった。それにより、107パーセントの予選通過基準タイムをクリアできず、審議会にかけられあた。審査の結果、前日のフリー走行で有効なタイムをマークしており、再車検によって今回のマシントラブルは不可抗力ということが証明されたので、第4戦の決勝進出を許された。土曜日に実施された第4戦は、スタートでライバルのバート・ヘルキマの前に出て、何周にも渡って接触寸前の激しいバトルを展開。たまらずチームオーナーのライアン・シャープ監督が「今回はヘルキマを前に出して、まずは完走を狙え」と無線で指示。バックストレートでクラストップを譲った桜井孝太郎は、無事30分のレースを走りきってチェッカー。イギリスF3選手権初完走、クラス2位入賞により、自身にとって初ポイントを獲得した。日曜日はイースター祭でお休みとなり、月曜日に迎えた第5戦、6戦は、桜井孝太郎にとって厳しいレースとなった。18番手グリッドからスタートした第5戦は、スタートでバート・ヘルキマをパスすることができず、ずっとその後塵を浴びながらチャンスをうかがっていたが、残り3周でブレーキトラブルが発生してコースアウト。午後2時半にスタートを迎えた第6戦は、40分という長い戦い。桜井孝太郎は、スタートで再びバート・ヘルキマの前に出ることに成功し、なんとか中盤までクラストップを快走していたが、最終的にはバート・ヘルキマの激しいチャージを退けることができず、完走、クラス2位。チームからはグッドジョブと讃えられたが、本人にとっては、とても悔しい結果となった。桜井孝太郎「まずは先週の絶望的なクラッシュのあとで、なんとかマシンを間に合わせてくれたチームの努力とメカニックの徹夜の作業に心から感謝します。毎日のようにファクトリーに顔を出して作業を見守っていましたが、本当に彼らの努力に対して、その感謝の気持ちを結果で返すしかありません。そう思ってオウルトンパークに臨みました。このサーキットはとても難しいコースで、コースアウトした時のセーフティ・マージンもないので、今回のレースはとにかくマシンを短時間で煮詰め、完走を目指すことを目標にしました。僕自身はもっと走りたかったのですが、残念ながら許されたフリー走行もトラブルで半周で終わってしまいショックでした。それでも走れるだけ幸せという気持ちで、みんなに感謝してレースウィークは絶対に飛び出さない覚悟で走り続けました。厳しいレースでしたけど、完走できたことでチーム全員が喜んでくれました。タイヤに関して、いろいろ理解できたことが最大の収穫です。全然走り込めていなかったので、タイヤ特性を掴みきってなかったのですが、今回の週末でかなり理解できました。ポイント獲得は素直に嬉しいです。レースですからクラッシュしてでも戦いたかった気持ちも正直ありますが、チームオーナーの指示も理解できます。焦らず、着実に結果を積み重ねていくことで、僕自身も成長できると信じています。他のドライバーは去年のオフから20日間以上も走り込んでいますから、今、この現状での差は納得できます。F3というマシンを自分のものにするためには、まだいくつかの課題もあります。次のレースの前に、プライベートテストでその課題を克服できるかどうかがひとつの鍵だと思っています。頑張りますので、ぜひ皆さんの応援をお願いします」