桜井孝太郎は、アメリカ合衆国ソノマサーキットで開催されたAUTO GPワールドシリーズ最終戦に日本人として初参戦。予選9番手から第1レースを7位完走、初ポイントを獲得した。日曜日の第2レースは、フロントロー、2番グリッドからスタートする。金曜日、朝の30分間のフリー走行で初めてAUTO GPのマシンに乗り込んだ桜井孝太郎は、アップダウンの激しいタフなソノマ・サーキットのコース習熟とともに、550馬力のマシンを着実にものにするために、まずはゆっくりと周回を重ねた。
そして幅広いタイヤのグリップ感や、巨大なウィングが発生するダウンフォースを確かめながら次第にペースアップ。最終的には、元F1ドライバーで前戦ブラジルで2連勝を挙げたアントニオ・ピッツオニアに0秒05差まで迫り、見事8番手のタイムをマーク。衝撃的なAUTO GPデビューを飾った。午後の2回目のフリー走行では、別のコンパウンドのタイヤを試し、セットアップの違いを実感するとともに、エンジニアとともに予選に向けての方向性を煮詰めた。そして迎えた土曜日の予選。さすが強豪ひしめくAUTO GPだけに、F1やGP2経験のあるドライバーが前日のタイムを大幅に更新する好タイムを続々とマーク。激しいアタック合戦の中、桜井孝太郎も何度かアタックを決めて上位に顔を出しましたが、最終的に9番手で予選を終えた。午後の決勝第1レースは、波乱の展開となった。スタート直後の第1コーナーで3台がクラッシュし、続く第2コーナーでも多重クラッシュが発生。見事なスタートで6番手までジャンプアップしていた桜井孝太郎は目の前のクラッシュを避けるために自ら瞬時にマシンをスピンさせ、アクシデントを回避。そのままレースに復帰したところでセーフティーカーが導入され、11番手で周回を重ねた。チームはセーフティーカー解除の絶妙のタイミングでタイヤ交換を決行。素晴らしいタイミングで9番手までポジションをあげることに成功した。勢いに乗る桜井孝太郎は、初めての550馬力のマシンを果敢にコントロールしながら素晴らしいブレーキングで前車をパスしてポジションアップ。デビュー戦となる初のAUTO GP決勝を最後まで走りきり、7位でフィニッシュ。見事デビュー戦でポイント獲得を果たした。この結果、日曜日に開催される決勝ファイナルレースは、上位8番手までがリバース・グリッドとなるため、桜井孝太郎選手はグリッド最前列、フロントロー、アウト側2番手グリッドからの決勝スタートとなることが確定した。桜井孝太郎「今年は不思議とタフなことが多いですね(笑)今回も初めての乗るAUTO GPと言うパワフルな車を、ソノマという素晴らしく難しいサーキットでデビューするという豪華な盛り合わせで迎えました。それに加えてF1のようにソフトとハードの2種類のタイヤを1レース中に使いこなすピットストップ作戦は、僕にとってはまた人生初めての経験だったのでワクワクドキドキでした。今までのレースとは頭を使うところが少し違うし、タイヤとの対話もまるで違いました。でも今年一年間色々な経験をしてきたし、乗り越えてきました。そこから得た強さが、ここに来て強敵強豪を相手に生きているのだと思います。これも多くの人の支えがあったおかげです。明日は皆さんの分も全身全霊で挑みたいし、全身全霊で楽しみたいです。今の自分に100%集中します。」ビンチェンゾ・ソスピリ「初めて550馬力のビッグフォーミュラに乗ったにもかかわらず、ミスもなく、とても落ち着いていたのが好印象でした。私の予想では、デビュー戦で予選10番手、決勝が8位でまとめられれば最高の出来だと思っていたのですが、予選で9番手、決勝で7位はともに想像以上の結果でした。AUTO GPに参戦しているドライバーは本当に経験豊かなドライバーで、タフな連中なので、その中で桜井孝太郎選手が見せたパフォーマンスと、そのポテシンャルは充分な評価に値すると思います」
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