小林可夢偉が、ブレーキトラブルでリタイアに終わったF1マレーシアGPの週末を振り返った。「セパンはこれまでいい成績が出せたサーキットだったので、楽しみにしていたんですけど、今年は残念な週末でした」と小林可夢偉はコメント。振り返ると週末を通してトラブルに見舞われていた小林可夢偉。最初のトラブルはギアボックスだった。
「まずは、金曜日のフリー走行2回目にギヤボックスにトラブル。アップシフトできなくなったんですが、ギヤボックスを交換することになり、重い燃料の状態でのバランスが確認できなかった。午前中はタイヤがオーバーヒートというより、オーバーヒートする前に溶けてしまっているかのような状態だったので、重い燃料での状態が分からないまま土曜日に入るのは、結構厳しいなという感じで、金曜日を終えた時点では、メルボルンとはまったく逆の手応えでした」金曜日に手応えを掴めなかった小林可夢偉は、土曜日にむけてセッティングを大きく変更。フリー走行3回目には良い感触を掴んでいたと語る。「それに、どうにもトップスピードに到達するまでの中間加速がいまいちで、メルセデスエンジン勢に対して、毎ラップざっと1秒近くロスしていることも分かりました。エンジン自体はメルボルンからずっと使っているものなんですけどね。ともかく土日に向けてかなり大きくクルマのセッティングを変えました。そうしたら土曜日のフリー走行3回目でいい状態になって、予選に向けてはさらにもっと気温が暑くなる、ということを想定したセッティングをしたんです」だが予選では、チームメイトのセルジオ・ペレスがQ3に進出したのに対し、小林可夢偉はQ2の最下位タイムで終えた。予選後、可夢偉のマシンの足回りが壊れていたことが判明した。「ところが予選に入ると、クルマのバランスがおかしかった。本来アンダーステアになるはずのコーナーで突然オーバーステアが出たり、オーバーステアになるコーナーでアンダーステアになったり、とにかく挙動が予測出来ない状態だった。予選が終わってから全部のコーナーの挙動をみながら、こんなところでオーバーが出ているとか訴えました。そうしたら、足回りが壊れていることがわかった。しかもいやらしいことにドカンと壊れたわけじゃなくて、徐々に壊れていったみたいで、右コーナーではいいけど左コーナーではダメといった状態だったり、結局理由が分かってすっきりはしたけど、足回りが壊れている状態でセッティングを進めていたから、どうなるかわかならい。でもレースではとにかくなんとかするしかないと思っていました」セッティングに不安に抱えたまま迎えた決勝。スタートからセパンには雨が降り注いだ。「決勝レースは、まず戦略がダメでしたね。スタートは頑張って1周目9番手まで行ったけど、そのあとタイヤを交換するタイミングが全部外れた。マレーシアは天気予報をあてにしてはいけない、って何度も話していたんですが、結局レースになったらチームは天気予報を信じていたみたいです」「しかも途中からどんどんフロントブレーキが効かなくなっていったので、ブレーキングの度にちゃんと止まってくれるのか怖かった。最後はヘアピンで全然止まらなくなって、もう無理ってピットインしました」結局、レースをリタイアした小林可夢偉。だが、リタイアの原因となったブレーキトラブルの兆候は前日の予選から出ていたことが判明したという。「じつはこれは後から分かったんですけど、ブレーキトラブルは予選中から出始めていたらしい。予選第1セッションの最後にミディアムでコースインしたんですけど、他のクルマがタイムを更新しないのでアウトラップで戻ってきたんですね。そこで車検を受けたときに、ブレーキがオーバーヒートを起こしたようです。それがなんでその場で分からなかったのかとかはチームが調べています。ミハエルをアウトから抜いたのは、あそこはブレーキングしないでいいからなんですけど。ブレーキが壊れていた状態でも、そこそこ速かった。フロントブレーキが壊れていたことの影響もあってか、なかなかタイヤに熱が入らなかったんですけど、もし何事もなく普通に走れていたら入賞は間違いなかったですね」セパンではセルジオ・ペレスが2位表彰台を獲得。ザウバー C31のポテンシャルを示した。「次の中国ではとにかく普通に戦いたいと思います。マレーシアの後、みなさんからいっぱいメッセージをもらいました。ほんとにありがとう。みんなの期待に応えられるように頑張るから、楽しみにしていてください」
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