レーシングブルズのアイザック・ハジャーにとって初の母国グランプリとなった2025年F1イギリスGPは、厳しい天候と不運が重なり、序盤でのリタイアという結果に終わった。予選12番手からスタートしたハジャーは、フォーメーションラップ終了時にスリックタイヤへと交換する数少ないドライバーの1人となり、路面の乾きを見越した果敢な戦略を選択。しかし予想に反して雨脚は強まり、気温の低下とともにタイヤ温度が急激に落ちた。
その後のセーフティカー再開直後、ハジャーは濃霧のようなスプレーの中、前を行くアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に急接近。減速が間に合わず、リアから接触する形でクラッシュとなり、リタイアを余儀なくされた。「こういう厳しいコンディションでは、いつだってある程度の賭けになる」とハジャーは語った。「スタート直後はシャルルのすぐ後ろで良いペースを感じていたし、同じ戦略だった。でもセーフティカー中は本当に何も見えなくて、タイヤの温度もまったく維持できなかった。リスタート後、赤いランプが見えたときにはもう遅かった」自身の体調については問題ないと安心させたハジャーは、アントネッリとの接触について「何かが見え始めたときには、もうアントネッリに突っ込んでいた。それでも、自分ではスペースを取ったつもりだった」と振り返った。「彼は必要なだけのマージンを取っていたと思う。自分の方は同じようには取らなかった。リスクをもう少し減らせたかもしれないけど、最大の問題はやっぱり視界の悪さだった」リタイアはもちろん悔しい結果だったが、ハジャーはポジティブな要素も見出していた。「多くのことを学んだよ。難しいコンディションの中でも何周かは走れて、自分の判断でスリックに替えるためにピットへ戻った。レースの大部分はシャルルの後ろで走っていて、実際ペースはあったと思う。でも戦略が全然合っていなかった」「チームには申し訳ないけれど、次のスパに向けて気持ちを切り替える。前を向いて進むしかない」と語り、F1ドライバーとしての責任感と前向きな姿勢を見せた。今回のリタイアにより、ハジャーはこれで3戦連続ノーポイント。レーシングブルズとしても、リアム・ローソンの1周目リタイアと合わせてダブルリタイアとなり、ランキングではザウバーに逆転を許した。ファエンツァのチームは現在、アストンマーティンと同ポイントで並んでおり、6位奪還へ向けて後半戦での巻き返しが求められる。次戦ベルギーGPでは、母国ファンの前で果たせなかった活躍を取り戻したいところだ。
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