今年で第100回を迎えるインディ500は、世界で最も長い歴史を誇り、最も多くの観客を集めるレース。今年もインディカー・シリーズの一戦として開催され、ホンダはスポット参戦も含めた17台のマシンにエンジンとエアロキットを供給している。インディ500の予選は5日間のプラクティスの後に、2日間かけて行われる独特の方式を採用している。
予選1日目のタイムアタックで上位9番手までにつけたドライバーである“ファスト9”が、予選2日目の夕方5時から1人1回限りのチャンスを与えられる。インディの伝統に乗っ取り、全長2.5マイルのオーバルコースを4周して予選アタックを行う。そして合計10マイルの走行タイムにより、スターティンググリッドが決定する。予選1日目は雨でスケジュールが変更となり、涼しいコンディションでタイムアタックが繰り広げられた。ここでホンダ勢は5人がファスト9に入った。予選2日目は一転して快晴となり、気温が上昇したことでファスト9によるポールポジション(PP)争いはとてもスリリングなものとなった。そして、予選1日目に最速だったジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)が、最後のアタッカーとしてコースインし、ジョセフ・ニューガーデン(シボレー)の230.700mphを上回る230.760mphで4周を走り抜き、栄えある第100回インディ500のPPを獲得した。昨年のインディ500でジェームズ・ヒンチクリフはプラクティス中にアクシデントを起こし、重傷を負った。それから一年後、風もあって難しいコンディションで争われた予選で230mphオーバーで4周のアタックを成功させて、伝統に彩られたコースでのPPを自らとチーム、そしてホンダにもたらしました。彼のこれまでのインディ500における予選最高位は2014年の2番手。ヒンチクリフとニューガーデンのタイム差はわずかに0.0758秒。ホンダにとって11年以来、通算9度目となるインディ500のPPを獲得となった。また、ホンダ勢はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が3番手、タウンゼント・ベル(Andretti Autosport)が4番手、カルロス・ムニョス(Andretti Autosport)が5番手とトップ5に4名が入り、ヒンチクリフのチームメートであるミハイル・アレシンとオリオール・セルビアは、それぞれ7番手、10番手となった。アレクサンダー・ロッシ(Andretti Herta Autosport with Curb-Agajanian)は11番手、佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は12番手と、Hondaドライバーはトップ10に6名、グリッド4列目までに8名が入った。佐藤琢磨は予選1日目に16番手につけ、予選2日目には、日中に行われる10番手から33番手のスターティンググリッドを競い合うグループの予選を戦った。今年が7度目のインディ500出場となる佐藤琢磨は、自己ベストの予選10番手に次ぐ12番手を手にした。猛暑の中でのアタックとなったが、佐藤は228.029mphというハイレベルのスピードを記録した。このグループでの戦いでもホンダドライバーが大活躍をみせ、セルビア10番手、ロッシ11番手、佐藤12番手と、トップ3を占めた。この後、月曜と金曜日にプラクティスが行われ、インディ500の決勝は5月29日(日)に開催されるジェームズ・ヒンチクリフ(ポールポジション)「インディ500のポールポジションがどんなに大きな意味を持つのか、考え過ぎないように心がけていました。今日の予選がどんな結果であっても、私たちは1週間後に500マイルという長距離レースを戦うのですから。いつの日か、今日のこの結果のすばらしさを体感する日が来るでしょう。2人のチームオーナー、サム・シュミットとリック・ピーターソンとの付き合いは、ここスピードウェイで始まりました。彼らはすごいチームを作り上げました。彼らの思いがクルー全員に行き渡り、私たちが走るマシンを組み上げています。今日、私たちは誇りに感じる成果を手に入れました。チームとHonda、彼らの信じられないようなすばらしい働きによる成果です。予選での私たちは、本当にすばらしい走りを実現できていました。マシンは最高に輝いていました。チームメートたちにも深く感謝します。彼らとは、この1週間、良好なコミュニケーションを取り続けてきました。マシンは限界で走れるセッティングになっており、一周ごとにコーナーでリヤが滑りやすくなっていきました。私はウエイトジャッカーを操作し続けてハンドリングの変化に対処しました。そういうマシンになっていたことが、ポールポジション獲得につながったのです。それがインディの予選です。予選2番手となったジョセフ・ニューガーデンには少々気の毒ですが、私も同じように2014年は僅差でポールポジションを逃しました。予選は終わりましたが、まだもう一つ大事な仕事が残っています。次の日曜日の戦いです。来週は、今日以上にすばらしいストーリを作り上げたいと思います」佐藤琢磨(12番手)「予選1日目のプラクティスではマシンの安定感がなく、4ラップを走れないほどでしたが、セッティングを大胆に変更して臨んだ予選ではマシンがスピードを取り戻し、16番手につけることができました。苦境に陥りながら、そこから大きく盛り返すことができたのはチームに力が備わっているからです。そして、予選2日目のアタックでは最高の走りを実現できました。暑くなったコンディションにセッティングをどれだけ合わせられるか、実力のあるチームでも失敗するところがある中、私たちのチームは冷静に対処し、すばらしいマシンを用意してくれました。これまで経験してきたインディ500の予選で、最もすばらしいマシンでした」