テキサス州ダラス郊外のテキサス・モーター・スピードウェイで開催された2019年インディカーシリーズ第9戦は、Honda勢が順調なスタートを切って序盤からリードを保ち続けていった。248周のレースの130周目を終えた時、Hondaドライバーたちがトップから7番手までを占めていた。しかし、このレースでHonda勢がビクトリーレーンにたどり着くことはできなかった。
今シーズン最初のナイトレース、Hondaドライバーたちは予選上位4台を占め、トップ12には9人が入っていた。しかし、さまざまな理由により、多くのドライバーたちは優勝争いから外れて行った。ゴール前の40周で2回のフルコースコーションが出され、最終的に優勝を争う存在となったのはアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)だった。彼はトップのジョセフ・ニューガーデン(シボレー)に猛アタックを繰り返し、観客を大いに沸かせた。予選は11番手だったロッシだが、レースでの走りは目覚ましく、序盤からハイペースで上位へと進出して行った。サイドバイサイドでコーナリングを続けるのが難しいテキサスのコースで、ロッシはニューガーデンの背後に迫り、猛追を続けた。しかし、オーバーテイクをまでには至らず、0.8秒差の2位でのゴールとなった。ロッシの後ろでは、グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)がすばらしいレースを戦い抜き、3位でのゴールを果たした。彼にとって2019年シーズンのベストリザルト。また、ルーキーのサンティノ・フェルッチ(Dale Coyne Racing)も、自己最高の4位となった。フェルッチは同じHonda勢のベテランのライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)と終盤にバトルを繰り広げ、彼のすぐ目の前でフィニッシュ。ルーキーポイントでトップに躍り出た。ハンターレイはレース最多の90周をリードした。しかし、ピットのタイミングとレース展開がかみ合わず、終盤にタイヤを新品に交換して逆転優勝を目指したが、5位でのゴールとなった。ポールポジションスタートの佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、スタートから60周に渡ってレースをリードし、2番手のスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)を一時は大きく引き離していた。しかし、佐藤琢磨は最初のピットストップでマシンを規定のボックス内に止め切れず、クルーの1人に接触。幸いそのクルーに大きなケガはなかったが、ペナルティーも科されて3周遅れとなり、最終的に15位となった。予選8番手から多くのマシンをパスし、一時は3番手まで浮上していたジェームズ・ヒンチクリフ(Arrow Schmidt Peterson Motorsports)は、トップ集団の背後に急接近する走りを見せていましたが、218周目にアクシデントでリタイアを喫した。この他にも、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)とコルトン・ハータ(Harding Steinbrenner Racing)が優勝を争っていたが、彼らは228周目に接触し、レースを終えた。アレクサンダー・ロッシ(2位)「僕らのマシンは速かったと思います。ターン3からターン4の走りのよさから、トップのジョセフ(ニューガーデン)にアタックを仕掛けることができていました。しかし、ターン1の外側から相手をパスすることができませんでした。真横まで並べましたが、前に出ることはできず、引き下がることを繰り返すしかありませんでした。あのアウト側からのアタックでタイヤを消耗させてしまい、最後は差を広げられてしまいました。結局のところ、今日の僕とスコット(ディクソン)、そしてコルトン(ハータ)は、燃費もマシンも非常によかったのですが、最後の最後で展開が味方してくれませんでした」佐藤琢磨(15位)「プラクティスからマシンは好調で、予選ではポールポジションを獲得することもできました。クルーたちがすばらしいマシンを用意してくれ、レースも最高の出足を見せることができました。スタートでトップをきっちりと守って、最初のスティントでは2番手以下を引き離すぐらいペースよく走れていました。ところが、最初のピットストップに入る時に、西日がピットに差していたということもあるのですが、自分のピットが見えづらく、ブレーキングポイントを間違えてしまいました。ピットロードを直進することも考えましたが、止まれるかもしれないと思ってピットボックスに向かったら、止まりきれずに行き過ぎてしまいました。そして、その時にピットクルーのひとりに接触もしてしまいました。彼が大事に至らなかったのは不幸中の幸いでした。マシンにダメージはなく、レースに戻りましたが、ペナルティーで3周遅れになり、ラップバックもできませんでした。とても速いマシンを作り上げてくれたエンジニア、クルーたちに申し訳ない気持ちでいっぱいです」