2018年のインディカー・シリーズ 第7戦 デトロイトの決勝レースが6月2日(土)に開催され、スコット・ディクソンが今季初優勝。ライアン・ハンターレイ、アレクサンダー・ロッシが2、3位フィニッシュし、ホンダ勢がトップ6を独占した。アメリカ自動車産業の首都ともいうべきミシガン州デトロイトでのイベントは、今年も金曜日にプラクティスを行い、土曜日と日曜日は午前中に予選、午後に決勝を行うダブルヘッダーとして開催されている。
最初のレースが行われる土曜日は、奇妙な天候に見舞われた。午前中は気温14℃と冬に逆戻りしたような寒さで、午後は日が出て20℃まで気温が上昇、快適なコンディションでレースが開催された。ソフトとハード、2種類のタイヤを使ってのストリートコースでのバトルは、ハイスピードかつエキサイティングなものとなり、予選2番手だったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が優勝を飾った。ディクソンは1回目のピットストップで、ポールポジションスタートだったマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta Autosport with Curb-Aganjanian)の前に出ることに成功し、その後はハードタイヤでの走りで2番手以下を大きく引き離した。レース終盤でアクシデントによるフルコースコーションが出され、後続との差が縮まっても、4回シリーズチャンピオンになっているディクソンは、慌てることなど一切なく、危なげない走りを続けて今季初優勝。キャリア通算42勝目のチェッカーフラッグを受けた。ディクソンはこれでマイケル・アンドレッティと並び、インディカー歴代3位タイの勝利数保持者となった。2位争いを制したのは、予選5番手からスタートしたライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)だった。スタート直後に5番手をキープしていたが、さらに上位への進出を目指して9周目にピットイン。ソフトタイヤからハードタイヤに交換した。デトロイトのストリートコースは今年も他のコースと違い、ソフトタイヤよりもハードタイヤが速く、しかも安定したパフォーマンスを発揮していた。早めのピットインが功を奏して、ハンターレイは大差をつけてトップに浮上。ピットストップを1回多くこなしてもトップグループにポジションを維持し、背後に迫ったチームメートのアレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)とマルコ・アンドレッティを封じ込めて、今季2度目の表彰台に上った。3位は予選4番手だったロッシ。ゴール間近のリスタート後にアンドレッティを抜き、今季早くも4度目の表彰台。トップ5フィニッシュは7戦目で6度目となった。佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、7番手スタートからポジションを上げ、5位でチェッカーフラッグを受けた。今シーズン初のトップ5フィニッシュ、そして、ここまでのベストリザルトだ。スタートでウィル・パワー(シボレー)をパスし、序盤のバトルでハンターレイもオーバーテイクした佐藤琢磨だったが、ディクソンをはじめとする上位陣と同じオーソドックスな2ストップ作戦だったことでポジションを大きく向上させることはできなかった。しかし、今日の予選、そして決勝でマシンセッティングを向上させることに成功した彼らは、日曜日に行われる予選、決勝に向けて、大きな希望を持つこととなった。スコット・ディクソン(優勝)「シーズン初優勝はいつでもうれしいものです。今のインディカーシリーズの競争の激しさには本当にすごいものがあります。数年前であれば、1シーズンに5~6勝するドライバーもいましたが、もうそうした時代は二度と訪れないのかもしれません。私はChip Ganassi Racingのクルー全員を誇りに思います。これが、今年からの新スポンサーと記録する初勝利となりました。Hondaが見事な仕事をしてくれたことも勝利につながったと思います。モーターシティでのレースでHondaがトップ6を独占。この結果が持つ意味は大きいと思います。明日も今日と同様にHondaによる上位独占を達成したいと思います」佐藤琢磨(5位)「最良の一日とはなりませんでしたが、手応えのあるフィニッシュを飾れました。我々のチームは昨年、デトロイトでの2レース両方で勝ちましたから、期待を高く持ってレースウイークを迎えました。しかし、走行1日目にはマシンセッティングで苦戦し、技術的なトラブルにも見舞われました。そうした状況から私たちのチームは大きくばん回を果たし、今日のレースで上位フィニッシュを記録することができました。明日の予選では競争力を発揮することができそうです。今日のレースでつかんだものを使い、いいマシンに仕上げて予選、そしてレースを戦いたいと思います」
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