2022年のインディカーシリーズは最終戦を迎えた。カリフォルニアらしい抜けるような青空の下、シリコンバレーに近い太平洋岸の街モンテレーにある全長2.258マイルのラグナセカ・レースウェイで95周の白熱したレースが繰り広げられ、11番グリッドからスタートからアレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)がライバル勢を大きく突き放す圧倒的なスピードで優勝を飾った。
2020年にインディカーシリーズにデビューし、2シーズン目にしてシリーズチャンピオンまで上り詰めたスペイン出身ドライバーは、2022年は勝利を挙げることなく16戦を終えていましたが、最終戦でその実力をフルに発揮し、67周のリードラップを記録しての勝利を挙げた。多くのファンが見守る中、パロウはアップダウンが激しく、しかも滑りやすいコースで完ぺきなドライビングを披露し続け、2位以下に30秒以上の大差をつけてゴールへと飛び込んだ。史上最多タイとなる7度目のシリーズタイトル獲得がかかっていたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、予選13番手から4回ピットストップを行う作戦で上位へと進出することを狙ったが、トラフィックに行く手を阻まれ、大逆転でのタイトル奪取はならなかった。フルコースコーションが1回しか出されなかったレース展開も味方せず、ディクソンは12位でゴールし、2022年シーズンをランキング3位で終えた。今年のインディ500で優勝したマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)は、最終戦は9位でフィニッシュ。シリーズランキング6位となった。Chip Ganassi Racingはディクソンが2勝、エリクソンとパロウが1勝ずつと、合計4勝をHondaエンジンとともに挙げた。ルーキーオブザイヤーの栄冠がかかった激戦は、2人のHondaドライバーたちが最終戦まで続いた。デンマーク出身のクリスチャン・ルンガー(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、最終戦でもスピードと安定感を両立させた走りを見せ、予選16番手から5位フィニッシュし、年間獲得ポイントを323点に伸ばして2022年のインディカールーキーオブザイヤーに輝いた。インディアナポリスのロードコースで行われた第13戦で2位に入賞し、表彰台に一度上っている彼は年間ランキング14位でデビューシーズンを終えた。彼とルーキーのための栄冠を最終戦まで争ったのは、シカゴ出身のデビッド・マルカス(Dale Coyne Racing with HMD Motorsports)だった。彼もゲイトウェイのオーバルで2位フィニッシュして表彰台に登壇しているが、最終戦は13位でのゴールとなり、獲得ポイント305点で年間ランキングは16位となった。佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)は金曜のプラクティス1からタイヤのセッティングで苦労し、予選は22位。二種類あるタイヤをうまく使うことで上位に進出することを目指したが、重要なサスペンションパーツの一つであるリヤのショックアブソーバーが走行中に壊れてマシンのハンドリングが悪化し、さらにはライバルとの接触時にステアリングを大きく取られ、傷めていた右手の親指に大きなダメージを与えて激痛とも戦うレースとなり、最終戦は23位でのゴールという結果だった。アレックス・パロウ(Chip Ganassi Racing)「すばらしい1日となりました。今日のレースはとても難しい戦いとなっていました。暑さの中でのバトルになるだろうと考えられたからです。しかし、私たちは決勝日の朝のウォームアップセッションでマシンが非常によい仕上がりになっていると確認できていたので、レースを楽しみにしていました。今日の私たちはすべてがスムーズでした。ピットストップも作戦も、タイヤも、エンジンもです。Hondaエンジンの燃費も本当によかったので、3回のピットストップでゴールまで走り切ることができました。それによって私たちの戦いは少し楽になっていました。オフシーズンはすぐに終わって、早く来シーズンが始まって欲しい。そう考えています。そして、今シーズンの終わり方と同じような好スタートを切ることができたらうれしいですね」佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)「シーズン最後のレースは本当に長いものになりました。スタートはとてもうまくいきました。今回供給されていたタイヤのパフォーマンスが理由で、4ストップでゴールを目指すチームが現れたため、作戦はチームによって異なるものが採用されていたようでした。しかし、私たちはレースの展開上から3ストップで行くしかなくなり、レースでのペースを上げることもできませんでした。その上、1台のマシンと絡んだ際に、以前から問題を抱えていた右手親指が完全に骨折してしまいました。そうした面からも、今日はよい一日ではありませんでした。接触後もレースを走り切るべくがんばり続けました。多くの皆さんのサポート、応援に感謝します。Dale Coyne Racing with RWRのカーナンバー51のために働いてくれているクルーたちとすばらしいシーズンを送ることができました。そのことを光栄に感じています。今日のシーズン最後のレースで好成績を残すことができなかったのは残念ですが、レースを戦っていてたいへん楽しかったですし、このチームの一員であることを本当にうれしいと感じています」
全文を読む