2026年F1パワーユニットを巡り、メルセデスとレッドブルが活用しているとされる「圧縮比トリック」が議論を呼ぶ中、アストンマーティンとホンダが公式の場で見解を示した。東京で行われたホンダの2026年F1パワーユニット発表イベントには、ホンダ・レーシング・コーポレーション社長の渡辺康治、アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロール、最高戦略責任者のアンディ・コーウェル、そしてF1のCEO兼プレジデントであるステファノ・ドメニカリが出席した。
この場で話題となったのが、エンジンが静止・常温状態で測定される際には規則内に収まりながら、実走行時にはより高い実効圧縮比を実現できる可能性があるとされる手法だ。圧縮比が高いほど内燃機関の熱効率は向上し、パフォーマンスに直結するため、2026年F1レギュレーション下では極めて重要な論点となっている。「今年から新しいレギュレーションが始まる。レギュレーションの解釈や、それに対する運用の問題がある」と渡辺康治は通訳を介して語った。「これは圧縮比の話に限らず、多くの要素が議論の対象になる。だから現時点では一つ一つを切り離して考えたい。ただし、我々が明確にしておきたいのは、開発においてレギュレーションを満たし、遵守することを前提にしているという点だ」さらに渡辺康治は、新レギュレーションの特性について次のように続けた。「レギュレーションには、すべてが細部まで明確に書かれているわけではない。新しいレギュレーションの中で、各パワーユニットにおける新技術の可能性を探っていくことになる。そこには多くの解釈の余地があり、それもまたレースの一部だ」「それが良いか悪いかを判断するのはFIAだ。我々ホンダとしては多くの異なるアイデアを持っており、それが認められるのか、問題があるのかを理解するためにFIAと議論していきたい。レギュレーションに関する事項については、常にFIAと協議しながら進めていくつもりだ」アストンマーティン側を代表して発言したアンディ・コーウェルも、この問題を長年のF1エンジン開発の文脈で捉えている。「圧縮比というテーマは、新しいレギュレーションが導入されるたびに必ず浮上してくる。すべての競争相手がレギュレーションを読み込み、パフォーマンスを限界まで押し上げようとするからだ」とコーウェルは述べた。「圧縮比は、内燃機関の熱効率を高める上で明確に重要な要素だ。だから誰もが限界まで攻める。すべてのパワーユニットメーカーが同じことをしているはずだ」その上で、最終的な判断を下す立場についても言及している。「FIAの仕事は、すべてのチームがレギュレーションを公平かつ平等に解釈しているかを確認することだ。まさに今、そのプロセスが進んでいる」東京でのホンダ発表イベントを経て、アストンマーティンは2月9日に2026年F1マシンを正式公開する予定だ。このマシンはエイドリアン・ニューウェイが設計を手がけた初のアストンマーティンF1車となり、ホンダ製パワーユニットとの組み合わせがどのようなパフォーマンスを見せるのか、注目が集まっている。2026年F1レギュレーションの下では、こうした「解釈の余地」を巡る駆け引きが、シーズン序盤から勢力図を左右する重要な要素になりそうだ。
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