ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2020年のF1世界選手権 第13戦 F1エミリア・ロマーニャGPの決勝を振り返った。イタリアのイモラ・サーキットで行われたF1エミリア・ロマーニャGPの決勝は、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトが4位入賞を果たした。一方、マックス・フェルスタッペンが2位走行中にリタイアを喫するなど、その他のホンダF1 パワーユニット勢にとっては残念な結果となった。
予選では4台全車がトップ8に入ったホンダF1 パワーユニット勢は、3番グリッドのフェルスタッペンが好スタートを決め、ルイス・ハミルトン(メルセデス)をかわしてバルテリ・ボッタス(メルセデス)に次ぐ2番手につける。4番手からスタートしたピエール・ガスリーもハミルトンに並びかけたが、前をふさがれる形となってポジションを下げ、ダニエル・リカルド(ルノー)に次ぐ5番手でレースを進めた。しかし、ガスリーはマシンに発生したラジエーターのトラブルにより、レースを8周で終えることになった。6番手スタートのアレクサンダー・アルボンは、スタートで7番手にポジションを落としたものの、ガスリーのリタイアによって再び6番手に復帰。前を行くシャルル・ルクレール(フェラーリ)がアンダーカットを狙って早めのピットインを行い、これに反応する形で14周目にピットへ。アルボンの直後を走っていたクビアトも同様にピットインし、2人は実質6番手と7番手でコースへ復帰する。イモラはオーバーテイクが難しいことで知られているが、その中でもフェルスタッペンはボッタスへプレッシャーをかけ続ける。すると、43周目にボッタスがわずかにコースオフして体勢を崩し、その隙を逃さずにタンブレロで仕掛けたフェルスタッペンは、2番手にポジションアップする。オーバーテイク後、フェルスタッペンはハミルトンに匹敵するペースを見せるが、ボッタスに前をふさがれていた間に10秒以上のリードを築かれており、ゴールまで2番手をキープするかに見えたが、突如右リアタイヤがバーストしてリタイアとなった。これによってセーフティカーが出動。アルボンはコース上に留まることを選択するが、クビアトはピットインしてソフトタイヤに履き替える。残り6周でのリスタートとなったが、クビアトはソフトタイヤの利を活かして、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)とアルボンをオーバーテイク。5番手にポジションを上げる。アルボンはセーフティカー走行中にタイヤが冷えていた中で、ペレスのアタックを防ごうとしたが、不運にもスピンを喫し、最後尾の15番手にポジションを落とした。ダニール・クビアトは4位でチェッカーを受けたが、他のホンダF1マシン3台はノーポイントと厳しい週末となった。「今日のレースは、全体として我々にとって大変フラストレーションの溜まる結果となりました」と田辺豊治はコメント。「唯一、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのクビアト選手が、レース終盤にセーフティカーで得たチャンスを逃さず、力強い走りによりホームレースでの4位入賞を果たしてくれたことがポジティブな結果です」「昨日の予選まで両チームともに速さを見せられていただけに、2位を走行していたアストンマーティン・レッドブル・レーシングのフェルスタッペン選手と、4番グリッドからスタートしたスクーデリア・アルファタウリのガスリー選手がリタイアによりレースを終えたことは非常に残念に思っています。フェルスタッペン選手についてはタイヤのトラブル、ガスリー選手についてはラジエーターの破損がリタイアの原因です」「最後に、今シーズンのコンストラクターズタイトルを獲得したメルセデスに祝福の言葉を贈りたいと思います。本当に強いチームですが、我々も彼らに追いつき、追い越すためにこれからもプッシュを続けます。気持ちを入れ替えて、次戦の行われるイスタンブールに向かいたいと思います」