ホンダがF1撤退を決断したことで、2022年からF1チームにエンジンを供給するメーカーはメルセデス、フェラーリ、ルノーの3社だけとなった。だが、ホンダとは異なり、彼らはエンジン供給と同時にワークスチームとしても参戦している。唯一、エンジンサプライヤーとしてのみの参戦となっていたホンダのF1撤退は、新たなエンジンサプライヤーの獲得を目指すF1にとって大きな痛手となることは間違いないだろう。
メルセデス、フェラーリ、ルノーそれぞれのチーム代表が『F1にエンジンサプライヤーとして参戦することに価値があるのか?』『今後エンジンサプライヤーであることの価値を向上させるために何をしていくべきか』という質問に答えた。マッティア・ビノット(フェラーリF1 チーム代表)「我々に関してそれは問題ではない。我々はチームであり、パワーユニットメーカーでもある。我々の歴史の中では常にそうだったし、それは大きな価値だ。重要な価値だと私は確信している。改善するために何ができるだろうか? 確かに、現在のエンジンは非常に高価です。開発費は非常に高く、何年も前と比べるとかなり増えていると思う。我々はそれらのコストを管理する必要があり、それらを削減しようとする必要がある。実際のところ、我々はレギュレーションを変更したばかりであり、エンジン開発を可能な限り凍結し、次年のダイナモでの走行を減らしようとしている。これは確かに一歩前進だが、結局のところ、十分ではない。今後、我々には2026年に新しいレギュレーションの機会がある。新しいレギュレーションを設計することによって、技術的な選択や開発する技術を決定するだけでなく、プロダクト自体のコストを検討する必要があると思う。我々が2014年のレギュレーションを描いたとき、もしくは決定したとき、我々はハイブリッド形式に焦点を当て、テクノロジーに焦点を当て、F1がイノベーションのプラットフォームであることを確認したと思うが、コストのことを完全に忘れていた。そして、過去数年のパワーユニットのコストは確かに高すぎたと思う。これから最終的には我々が加速させていく必要がある重要な議論だと思うし、将来のパワーユニットフォーマットのビジョンを理解しようとしている。コストがかかるため、テクノロジーは新しいOEMを引き付けるための重要な要素になる。最終的に我々が2026年を予測することできるかは私にはわからない。時間は非常に短いと思うが、確実に議論を加速し、今後のフォーマットを理解する必要がある。トト・ヴォルフ(メルセデスF1 チーム代表)我々には両方の側面がある。我々はマクラーレンのエンジンサプライヤーとして非常に成功した期間を過ごしてきたが、チームを所有することによって、より多くのマーケティング価値とより良い投資収益率が見られたため、2009年末にチームを購入することを決定した。したがって、両方の側を見てきた。パワーユニットメーカーのビジネスケースはどのように進んできたか。それは将来も続くべきものではないのは確かだ。私が2009年にウィリアムズでF1に参加したときに彼らが利用していたパワーユニットを覚えている。彼らは2000万ドル(約21億円)以上の費用がかかっていた。今日、我々はそれをはるかに下回る価格で供給する義務がある。マッティアが言ったように、ハイブリッドの導入により、それはエンジニアリング面の運動だった。実際に我々はどのようなエンジンを開発できるのだろうか? そして、我々は他のスポーツには存在しない50%以上の熱効率を備えた現在の素晴らしいエンジンになるとは認識していなかった。2014年に我々は責任者のバーニー(エクレストン)にメッセージを送り始めた。これは実際にはF1にとってすべてが良くない、ノイズは十分ではない。否定的に話をしても製品を売ることはできない。そのため、我々にはまだこれらのエンジンが素晴らしいハイブリッドテクノロジーであるというメッセージが不足している。だが、それらはコストが非常に高い。そのため、より持続可能性を高め、将来的に他のOEMを引き付けるためには、シャシー側で行ったように、明確なパワーユニットの支出上限を導入する必要があると思う。シリル・アビテブール(ルノーF1 チーム代表)「言われたことに完全に同意するので、追加することはほとんどない。ルノーとしては、まさに2015年に完全に撤退するか、ワークスチームとして完全に復帰するかどうかを自問したときの状況だ。我々にとって、当時は状況はまったく良くなっていなかった。テクノロジーのコストと、良い仕事をしていても悪い仕事をしていても、そこから得られるマーケティング報酬が非常に低いことを考えれば、エンジンサプライヤーとしての位置付けをサポートするビジネスケースはない。そうは言っても、エンジンメーカーとの提携が得意で、エンジンメーカーがチームを買収する必要がないようなチームがいることも想像できると思うが、それでも現在レッドブルで行われている考え方とは少し異なる考え方を必要とするだろうと思う。正直に言って、我々はそれを試みたが、失敗した。そのため、我々が行っていること、つまり自分たちでワークスチームを運営し、所有してやっていくしかなかった。
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