ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史が、F1イタリアGPでのピエール・ガスリーとアルファタウリとの優勝を語った。2015年にマクラーレンのパートナーとしてF1復帰したホンダF1が、3年間で契約を解消。供給元がなくなったホンダにアプローチしたのが当時トロロッソと呼ばれていたアルファタウリだった。
今回のF1イタリアGPではアルファタウリと名前を変えたチームとのトロロッソ時代から数えて50戦という節目のレースだった。アルファタウリ・ホンダF1として、マシンには50戦目を記念するロゴを掲載してレースに挑んだ。「2015年にホンダがF1に復帰して、マクラーレンと厳しくもいい経験をさせてもらった後、トスト(フランツ・トスト/チーム代表)さんが迎え入れてくれて、我々がまだわからないことがたくさんあるなかで非常にオープンに迎え入れてくれました」と山本雅史は振り返る。「そんな彼らとの50戦目の節目のレース、しかも、彼らのホームレースとなるイタリアGPでガスリーが優勝したことをとてもうれしく思います」「実は、レッドブルとの交渉を始める前にトストさんを訪れて『ホンダとしてはレッドブルとも組みたい』という話をしたんです」「そうしたら『是非やりなさい』『トロロッソと組んでF1に勝つには5年はかかるから、ホンダはレッドブルと組んで早く勝ちなさい。我々もそれを願っている』と言ってくれたんです」「その言葉が忘れられなくて。アルファタウリとも5年以内に勝とうと思っていましたが、まさか50戦目で勝てるとは思っていませんでした」奇しくも今回のピエール・ガスリーは、かつて袂を分けたマクラーレンのカルロス・サインツを抑えての勝利だった。「マクラーレンに勝ったのは、率直に嬉しいですが、彼らと喧嘩したわけではないです」と山本雅史は語る。「ホンダ全体で言えばマクラーレンに負けたら悔しいと思う人の方が多いでしょうし、そういう意味ではサインツに抜かれなくて良かったなと思いますね」表彰式ではその“ホンダ”という名前もアナウンスされた。チームの正式名称は『スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ』であるためだ。これは『アストンマーティン・レッドブル・レーシング』とのレースでは得られないことだ。「表彰式の場内アナウンスでスクーデリア・アルファタウリ・ホンダと言われたことで喜びもひとしおでしたね」と山本雅史は語る。「レッドブルとは何度か優勝していますが、そこでは“ホンダ”という名前は出てこないので特別なものがありました」「社長の八郷からのもも『アルファタウリ・ホンダとして勝てたのが本当にうれしい』と何通もメッセージが来てます。とてもうれしいですね」優勝したピエール・ガスリーは、山本雅史がホンダのモータースポーツ全般を統括していた2017年にホンダのエンジンを搭載するTEAM MUGENからスーパーフォーミュラに参戦している。日本のレースで活躍したドライバーが優勝したことは、日本のモータースポーツ界にも大きな意味を持つことだと山本雅史は語る。「ガスリーはスーパーフォーミュラの最終戦が台風でレースができなくて、僅差でシリーズタイトルを獲れなかったということがありました。日本人にとってもガスリーは印象に残っていると思います」と山本雅史は語る。「ホンダが鈴鹿サーキットでやっているSRSのカートやフォーミュラのスクール生を含め、鈴鹿でスーパーフォーミュラというトップカテゴリーで戦っていた選手がF1で勝ったというのは励みになると思います」「ホンダとしても嬉しいです。ホンダと付き合いが長いガスリーが、F1に来て3年目で初優勝、しかも、このメルセデス最強時代に勝てたというのは、メルセデスにトラブルがあったとはいえ、その位置にいないと優勝もできないことです」「ガスリーが勝ったことは、ファンにとっても、これから頂点を目指すドライバーにとっても励みになると思うので、非常に嬉しく思っています」
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