ホンダの2020年型F1エンジンのメルセデスとの差は30馬力だと開幕戦3戦のGPSデータを元に Auto Motor und Sport が算出している。F1パワーユニット時代の7年目となる今年、再びエンジンの馬力が脚光を浴びている。特にメルセデスは冬の間に大きな進歩を果たし、カスタマーのレーシング・ポイントとウィリアムズは特にエンジンパワーが物を言う予選で大きな飛躍を遂げている。
2014年にF1にパワーユニットが導入され以降、メルセデスは最強のエンジンとして君臨していた。フェラーリのF1チーム代表を務めるマッティア・ビノットは「2014年に我々はメルセデスより80馬力劣っていた」と認める。ルノーも50馬力の差がると語っており、1年遅れて2015年からF1に復帰したホンダは100馬力の差があったともいわれていた。その後、レギュレーションの安定とともにエンジンパワーの差も収束していたが、2018年からフェラーリのF1エンジンが大きく改善。そして、2019年には疑惑のシステムによって、メルセデスのF1チーム代表トトヴォルフいわく「時には最大70馬力の差があった」と語っている。ルノーとホンダはメルセデスに追いつき、ルノーのエンジン責任者であるレミ・タフィンは、4つのエンジンメーカーの差は20馬力以内だと語っていた。2019年にフェラーリとのエンジン面での大きな差を痛感したメルセデスは、2020年にむけて“燃え尽き症候群”になるくらいにエンジンを開発。その一方で、フェラーリは大きくパフォーマンスを落としている。Auto Motor und Sportは、開幕3戦のGPSデータを元に各エンジンメーカーの馬力を算出。エンジンパワーが最大モードに上げられる予選の最初のセクターのデータを分析した。開幕戦オーストリアGPでは、レッドブルとフェラーリがダウンフォースを削り、ルノーとマクラーレンがドラッグを削っていたことでバラツキがあったが、ハンガリーGPではすべてのマシンが最大のパフォーマンスで走行していたため、正確な数値が出せるとした。分析の結果、2020年の最強エンジンはメルセデスとなった。馬力数は出していないが、今年のエンジンは1000馬力の大台に乗せてきた可能性がある。メルセデスとレッドブル・ホンダのパワーによる差は0.4~0.5秒差だと推定している。2番手に25馬力差でルノー、3番手にホンダ、4番手に50馬力差でフェラーリだと結論付けた。ルノーとホンダの際は5馬力とほぼ同等。予選モードではルノーに分があり、決勝でのドライバビリティではホンダの方が優れているとまとめている。ちなみに各エンジン別の昨年との予選のタイム差では、メルセデス勢がレッドブル・リンクで0.62秒、ハンガロリンクで1.75秒、ルノー勢はレッドブル・リンクで0.48秒、ハンガロリンクで0.85秒、ホンダ勢はレッドブル・リンクで0.18秒、ハンガロリンクで0.45秒増加。逆にフェラーリはレッドブル・リンクで0.87秒、ハンガロリンクで0.1秒遅くなっている。
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