レッドブルは、ホンダのF1エンジンの進化に2020年のF1世界選手権では“言い訳はできない”と自らを追い込んでいる。2015年にマクラーレンのエンジンパートナーとしてF1復帰したホンダだが、複雑なパワーユニット時代に1年遅れで参入したことも響き、そのエンジンは信頼性に欠け、パフォーマンスもライバルに劣るものだった。
しかし、2017年にむけてホンダはF1エンジンの設計コンセプトを一新。ライバルに追いつくための基盤を整えた。2018年にトロロッソとのパートナーシップを開始したホンダF1は、シーズンを通して実験の場を与えられ、2019年からレッドブルにも供給を拡大。幕戦で11年ぶりの表彰台を含め、13年ぶりの勝利とポールポジション、28年ぶりの1-2フィニッシュと、2015年にF1に復帰して以降での最高のシーズンを過ごし、シーズン中の3回のアップデートでメルセデスやフェラーリと戦えるF1エンジンへと進化した。一方で、レッドブルは新しいフロントウイング規則の解釈に苦労。ホンダF1がスペック3を導入した後のF1オーストリアGPでようやく空力パッケージはまとまり、シーズン初勝利を挙げている。ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は「スペック1からスペック4まで、計画どおりすべてが順調に進みました」と語る。「優れたチームであるレッドブルと、優れたフィードバックを提供する優れたドライバーであるマックス・フェルスタッペンのおかげで、開発が促進され、スムーズに進められたと言えます」ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治も、実際のスケジュールの進展には“とても満足している”と語る。「今シーズン、我々はスペック1からスタートしましたが、スペック2へのステップはわずかなものでした」と田辺豊治は説明する。「その後、スペック1からスペック2よりも大きなステップであるスペック3を導入した。さらにスペック4は、スペック2からスペック3よりも大きなステップでした。チームとドライバーと約束した通りとおりにパワーユニットを導入できたことには満足しています。シーズン中にチームに伝えたものとほぼ同じステップでした」「トラックサイドのテクニカルディレクターとして、トラックサイドの観点でもパワーユニットの進歩にとても満足しています」ホンダF1とのパートナーシップにより、レッドブルはチーム史上初めてファクトリーチームになった。レッドブルのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、ホンダは完璧なパートナーだと語る。「エンジンパートナーの焦点がレッドブルに向いているというのはまったく新しい感覚だ。我々はそれを知らなかった。常にカスタマーにすぎなかったからね。ホンダは、我々のドライバー、シャーシのためにエンジンを最適化している」とクリスチャン・ホーナーは語る。近年、信頼性はレッドブルの弱点のひとつだったが、今年はマシンの信頼性が大幅に向上している。その理由についてクリスチャン・ホーナーは「我々はさまざまなテストベンチにいることが多い。コース上ではテストがより困難になっている。それがファクトリーステータスの利点だ」とコメント。「ホンダはそのために十分なエンジンを提供してくれている。これにより、限界までマシンのすべてのコンポーネントをテストできる。そのため、特定のピークがどれくらいの期間持続するかについて詳しく学ぶことができる。我々は、弱点がどこにあるかを十分に把握し、それらを整理することができる」戦える基盤が整った今、2020年にむけたレッドブル・ホンダの目標はメルセデスとフェラーリとチャンピオンシップを争うことにある。クリスチャン・ホーナーは「ドライバー、レギュレーション、エンジン供給、エンジンレギュレーションとすべての面で継続性がある。そのため、人が予期しないような手段を見出さない限り、メルセデス、フェラーリ、そして、我々との間での本当にエキサイティングなシーズンを迎えることになると思う。本当に伝統的なシーズンになるだろう」と語る。クリスチャン・ホーナーは、異なるタイヤ、ルノーからホンダへのF1エンジンの変更、そして、フロントウイング規則の変更が2019年のスタートに影響を及ぼしたと語る。「フロントウィングのレギュレーションが変わり、冬の間にタイヤが変わったことは、おそらくライバルよりも私たちに影響を与えたように思う。それに、その当時はもちろん、まだ我々はパワー面でキャッチアップしているところだった。だが、オーストリア以降は本当にその部分を攻略でき、後半戦の我々は非常に競争力があった」とクリスチャン・ホーナーは語る。「2017年を振り返れば、我々はシーズン開幕時に素晴らしいマシンがあり、メルボルンではフロントローを獲得できたはずだったし、第2戦の中国では勝利を収めた。2017年の開幕時は非常に競争力のあるマシンを手に入れていた。再びレギュレーションが安定することにより、2019年から2020年にかけて再びそれが再現されると思う」「他の人が何をしているかを測定することはできない。だが、理論的には、メルボルンの(2020年)マシンは、アブダビの(2019年)マシンのアップグレードになる」レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、レッドブル・ホンダがメルセデスとF1タイトルを争うには5勝以上を約束する必要があり、ホンダのF1エンジンが戦えるものであることが証明された今、レッドブルはシャシー面で“言い訳はできない”と語る。「我々はワールドチャンピオンを争いたいと思っており、シャシーが開幕戦から競争力を発揮できなければならないことをわかっている」とヘルムート・マルコは語る。「ホンダは良い進歩を果たしているし、ここまで達成したすべてのことを考えれば、それは実現すると思う。言い訳はできない」ヘルムート・マルコは、ホンダのF1エンジンはメルセデスと対等に戦えるまで進歩しており、2020年のF1タイトル争いではフェラーリではなくメルセデスがライバルになると考えている。「シーズンの最後の3分の1では我々はフェラーリに先んじていた。特にエンジンに関しては、フェラーリに以前のような優位性はなかったように思う」とヘルムート・マルコは語る。「ホンダF1は約束を果たしただけでなく、それをはるかに超えていた。彼らはメルセデスとほど同等であり、予選でわずかに欠けているだけだ。だが、ホンダはその小さなステップを果たすことができると確信している」「序盤からタ...