ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は、2015年以降の3年間のマクラーレンとのパートナーシップでF1ではシャシーメーカーとエンジンメーカーの総合力が重要であることを学んだと振り返る。2015年、7年ぶりにF1に復帰したホンダ。かつて最強コンビと呼ばれたマクラーレン・ホンダの復活と期待されたが、シーズンの最初からパワー不足とトラブルの多発に苦しんだ。ホンダはメディアやネット上で批判の矢面に立たされた。
マクラーレンとホンダを取材してきたジャーナリストのサム・コリンズは、両者の関係はスムーズではなかったと指摘する。「イギリスと日本に拠点が分かれていて緊密に仕事をしているとは思えなかった」とサム・コリンズは語る。「例えば、サーキットで、マクラーレンとホンダの人間は別々に食事をいていた。たばこを吸うときも別々だった」「メルセデスのトト・ヴォルフ代表は、ランチをしながら意見交換をしている。これは大きな優位点だ。ホンダとマクラーレンとの間にはそれが欠けていた」2016年にホンダのモータースポーツ部長に就任した山本雅史は、当時、両者の関係に違和感を感じたと語る。「コミュニケーションが悪かったと僕は思っています」と山本雅史はコメント。「マクラーレンはマクラーレンのトップチームの強さがあり、ホンダは必ずちゃんとやり切るだろうという、お互が変な意味の信頼関係を持っていて、お互いがリスペクトしていたのは事実なんです」「だけど、お互いがお互いに混じり合っていなかった。総合力でなんとかしなければいけない世界なので、そこを学んだのがマクラーレン時代だったと思います」一方で、ホンダF1のエンジン開発責任者を務める浅木泰昭は、ホンダとしてもおごりがあったと認める。「レースの世界は一度やめると人も設備もノウハウも全部失うから、過去1回栄光があったからといって、復帰したときにすぐそうなることはない」と浅木泰昭は語る。「準備不足、おごりがあったと思う。マクラーレンにも迷惑をかけたし、申し訳ない部分も大きい」