山本尚貴は、2020年もF1マシンで走行経験を増やすことになるかもしれない。今年、ホンダが支援する山本尚貴は、鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GPの金曜フリー走行1回目にトロロッソ・ホンダのF1マシンで走行。日本GPで日本人ドライバーが鈴鹿でF1マシンを走らせたのは、2014年の小林可夢偉(ケータハム)以来となった。
ピエール・ガスリーに代わって走行を行った山本尚貴は、レギュラードライバーのダニール・クビアトに0.1秒差と印象的なパフォーマンスを示した。だが、走行後、レッドブルのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、レースドライバーとして起用することはないと明言。実際にレッドブルとトロロッソは現行ドライバーの継続を発表している。「彼(山本尚貴)はレッドブル・ジュニアチームのメンバーではない」とクリスチャン・ホーナーはコメント。「彼は日本でマシンをドライブするよう招待され、非常に良い仕事をしたが、彼はメインチームの検討中のドライバーではない。そして、トロロッソの主な目的はレッドブルのシートのための選択肢を提供することだ」だが、レッドブルとホンダは、2020年の山本尚貴に関して話し合いを進めているようだ。ホンダF1のマネージングディレクターを務める山本雅史は、レッドブルから好条件のオファーを提示されていると語る。山本雅史は「レッドブル、そしてヘルムート・マルコと彼について話し合いをしていることを認めます」とコメント。「我々はかなり良い申しオファーをもらっていますが、これはホンダもしくはチームだけの決定はなく、もちろん尚貴自身とも話さなければなりません。彼は異なるシリーズにも参戦しています。それは現在も進行中です」山本尚貴は、スーパーフォーミュラとSUPER GTに並行して参戦しているF1チームで恒久的な役割を得ることは難しい。そのため、プレシーズンテストやインシーズンテストでの走行、また、ホンダの地元鈴鹿でのF1日本GPでのフリー走行出走の可能性が高い。特にインシーズンテストでは2日間ルーキードライバーを起用する義務があり、今年はレッドブルがダニエル・ティクトゥム、トロロッソがショーン・ゲラエルを起用。だが、現時点でレッドブルのジュニアドライバーにはF1スーパーライセンスポイントの基準を満たしているドライバーはいない。また、山本尚貴には、ホンダにとってF1と日本人ドライバーを繋ぐ役割もある。ホンダは、2008年の佐藤琢磨を最後に10年以上、ホンダドライバーがF1でレースをしていない。近年ホンダがF2に送り込んだジュニアドライバーたちは、F1にステップアップするために必要な結果を達成していない。しかし、ホンダはドライバープログラムのベストメンバーのためにレッドブルとの機会を確立する価値があると考えている。「もちろん、ホンダが将来の日本の若手ドライバーのために基盤を作ることは非常に良いことです」と山本雅史は語った。「現在の若手ドライバーや他の日本人ドライバーに良い影響を与えるでしょう」今年、F3に参戦した角田裕毅は、今月のF2アブダビテストにカーリンから参加し、来季のステップアップが確実とされている。19歳の角田裕毅は1勝を挙げ、ヨーロッパでの初シーズンとなったFIA-F3をランキング9位で終えた。角田裕毅は、F2 / GP2レベルで4年、スーパーフォーミュラで1年を過ごした後、スーパーライセンスを獲得するのに十分なポイントを持っていない松下信治のようなより確立されたホンダドライバーよりもはるかに若い。山本雅史は、様々なスキルが要求されるため、ホンダの若手ドライバーたちがF1に参戦するために自分を証明することは「本当に難しい」と認める。山本雅史は、スーパーフォーミュラのエースである山本尚貴、松下信治、そして、“おそらく”角田裕毅にはF1で成功するために必要な能力を持っていると信じているが、元F2ドライバーの牧野任佑と福住仁嶺は“本当に速くて非常に才能がある”ものの、短期的にはF1の下位カテゴリーに戻る可能性は低いと認める。「もちろん、運転スキルやスピードが必要ですが、それだけではありません」と山本雅史は語った。「ジェンソン・バトンを見れば、彼は速いだけでなく、彼の性格、ファンやメディアへの反応の仕方、そして、人々との関係、チームの関係もあります。これらの側面が本当に重要です」
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