緊張感高まる戦略的な一戦となったF1シンガポールGP決勝は、ホンダのF1パワーユニットを搭載する4台のうち3台がポイントを獲得。さらにレッドブル・レーシングのフェルスタッペンが表彰台を獲得する、すばらしい結果となった。レーススタート直後、マックス・フェルスタッペンはスタートポジションの4番手をキープ、そしてチームメートのアレクサンダー・アルボンも同じく6番手をキープしながら走行した。
対照的に後方のトロロッソ・ホンダの2台は不運に見舞われてしまった。ダニール・クビアトはミディアムタイヤで14番手からスタートしたが、戦略が機能せず12周目にピットイン。ハードタイヤへ変更し、作戦を変更することとなった。チームメートのピエール・ガスリーはハードタイヤでスタートし、最初のスティントをできる限り長く走行した。レース半ばにミディアムタイヤへ変更するためにピットインするまでの間にはトップ3を走行するなど、素晴らしい走りを見せた。前を走るマシンのペースが上がらない中、フェルスタッペンは19周目にピットインを行い、ハードタイヤへと変更。その後、遅めのタイミングでピットインを行ったルイス・ハミルトンの前に出て、3番手へとポジションアップに成功した。同じくアルボンもフェルスタッペンの1周後にピットインし、ポジションアップとはならなかったものの、6番手をキープしながら走行した。その後フェルスタッペンは前をふさぐ2台のフェラーリに迫りながら、後につけるハミルトンからポジションを死守し、今期2勝を含む、4度目の表彰台を獲得した。アルボンは6位入賞。セーフティカー後のリスタートで、ガスリーはまずはランス・ストロールを、続いてキミ・ライコネン、ケビン・マグヌッセンを次々とオーバーテイクする勢いのある走りを見せ、8位で4ポイントを獲得した。同じくポイント獲得を狙ったクビアトだったが、1コーナーでライコネンのオーバーテイクを試みた時に接触。ピットインを余儀なくされ、15位で今大会を終えることとなった。田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のレースでは、Aston Martin Red Bull Racingのフェルスタッペン選手の健闘と、チームの適切なストラテジーにより、予選4番手から一つポジションを上げて3位表彰台を獲得できました。このような形で週末を終えられたことはよかったと感じていますが、一方で、高速のサーキットである前戦のモンツァ続き、低速サーキットのシンガポールでも、フェラーリの速さが際立った週末でもありました。Red Bull Toro Rosso Hondaについては、ガスリー選手が力強い走りでオーバーテイクを見せ、チームにとって貴重なポイントを獲得しました。クビアト選手もいいペースで走行していましたが、接触の影響もありポイント圏外に終わりました。Honda勢4台の入賞は逃しましたものの、堅実な走りを見せたRed Bullのアルボン選手とともに、3台入賞を果たせたことはよかったと思っています。終盤戦でさらなる巻き返しを見せられるよう、これからもプッシュを続けます」マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ/3位)「もちろん常に優勝を目指して戦っていますが、オーバーテイクが難しいこのようなコースで、一つポジション上げて表彰台を獲得できたことはとても前向きな結果だと思います。さらにいい結果を期待していたレースウイークではありましたが、予選で他車が見せていたペースから考えると、3位は十分にいい結果ではないでしょうか。レースはタイヤをうまく機能させるためにペースをコントロールすることが重要であり、幸運もあり、今日はそれをうまく実践することができたようです。前方のルクレール選手がうまくタイヤをコントロールできずにペースが上がらず、それが原因で全車が僅差だったので、ハミルトン選手をオーバーテイクすることができました。ピットストップ後はペースもよく、セーフティカー解除後も3番手を手堅く走行していました。残り数周の時にニュータイヤを装着したハミルトン選手が迫ってきましたが、最後まで抑えることができました。ファン目線ではそこまでエキサイティングな一戦ではなかったかもしれませんが、僕たちにとってここはただの公道サーキットというだけでなく、体にはタフながらも走っていて非常に楽しいという側面もあります。このレースウイークは期待した結果には届きませんでしたが、引き続き次戦まで改善に努めたいと思います」アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ/6位)「レース中のほとんどがタイヤをうまくマネージメントすることだったので、体力的には楽な一戦でした。最後の20周だけは、体がきついと感じるくらいのプッシュをしていました。6番手からスタートし同じく6番手でレースを終えたこのレースは「マネージメントとの戦い」と呼べるのではないでしょうか。レースというよりは、淡々とプロセスを消化するだけの走行に感じたときもありました。レース中ずっとメルセデスの後ろでつかえてしまったことも、フラストレーションが溜まりました。抜きにくいコースであるためピットストップでポジションアップを狙いましたが成功させることができず、さらに何度かセーフティカーが出てしまいました。2スティント目でボッタス選手をオーバーテイクしたかったのですが、メルセデスを抜けるほどのペースがありませんでした。最初から最後までシルバーのリアウイングを見続けながら走行したのは、全く楽しいことではありませんでしたが、僕がプッシュすれば彼もプッシュし、タイヤをセーブするタイミングも同じで、まるで前方のハミルトン選手を前に行かせるため僕を足止めしているのではないかと思うほどでした。とはいえ、初めてのシンガポールでのレースは結果的にポジティブな一戦となりました。ペースもだいぶよくなり、前進していると感じています。レース中にも関わらず、スピードアップにつながるテクニックを見つけることもできました。驚いたことに観客の中にタイの国旗を持ってきてくれた方々が大勢いて、ここでの一戦が僕にとってもとても特別なレースになりました」ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ/8位)「レースをとても楽しむことができました。最初のセーフティカーのタイミングではうまくいかなかったこともありましたが、終盤はとてもエキサイティングなレースになりました。序盤はうまくいっていましたし、その時は、気付いていなかったのですが、ピットストップをする数周前には2番手を走行していたぐらい速さを見せることができました。しかし、セーフテ...