2019年 F1 第7戦 カナダGPは、厳しい戦いを強いられながらも、ホンダ PUを搭載する4台のマシンのうち、3台がポイントを獲得した。レッドブル・ホンダは、マックス・フェルスタッペンが予選で不運にもQ2敗退を喫したことから、2台で異なる戦略を採用。予選でQ3へ進出し、5番手となったピエール・ガスリーが、Q2で使用したソフトタイヤでスタートする一方で、フェルスタッペンはハードタイヤを選択した。
今日のジル・ヴィルヌーブ・サーキットは気温が高く、レース序盤でのソフトタイヤはあまり長く持たなかったため、ピエール・ガスリーは7周目でピットインし、ハードタイヤに交換して残り63周を走りきる戦略に出る。一方、ハードタイヤでスタートしたマックス・フェルスタッペンは、第1スティントを長くする戦略で、序盤にランド・ノリス(マクラーレン)をパスすると、他車のピットインによって順位を上げていった。マックス・フェルスタッペンは、48周目にピットへ入り、ミディアムタイヤに交換。7番手でレースへ復帰すると、新しいタイヤの強みを活かして前方のルノー勢2台を立て続けにオーバーテイクし、5位でフィニッシュした。ピエール・ガスリーは、タイヤ交換後に前を走るマシンに接近しながらも、前車の排気などが混ざる高温の空気を受けることによるブレーキの加熱や吸気温度の上昇に苦しみ、ペースが上がらないライバルを抜けない展開が続く。その後も最後までタイヤを持たせるための走りを強いられたが、8位でチェッカーを受けて3ポイントを獲得した。トロロッソ・ホンダのダニール・クビアトは、レース残り4周のターン1で、前方のカルロス・サインツ(マクラーレン)を見事なオーバーテイクで交わし、10位にポジションを上げてチームにポイントをもたらした。ミディアムタイヤでスタートしたクビアトだったが、12周目にハードタイヤへ交換。そこから安定したペースを刻み、入賞を果たした。チームメートのアレクサンダー・アルボンは、スタート直後のターン1で2台に挟まれる形となってフロントウイングを破損。ピットストップせざるを得ずに大きくポジションを落とし、その後挽回を目指して走り続けたが、残り11周を残す時点でリタイアとなった。田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)「今日のレースでは、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が昨日の不運な予選による9番グリッドという位置から、5位までポジションアップしてくれました。ただ、レース序盤に他車の後ろで大きくタイムロスをしたことが響き、残念ながら表彰台を争うには至りませんでした。トロロッソ・ホンダのアルボン選手は、レース1周目の他車との接触でフロントウイングを失なう残念なレースとなりましたが、クビアト選手は粘り強い走りでレース残り2周で前車をパスして入賞を果たし、レッドブル・ホンダのガスリー選手と共に、4台中3台がポイントを獲得できました。これから欧州に戻り、フランス、オーストリアと連戦になります。さらなる競争力の向上に向け、レッドブル・ホンダ、トロロッソ・ホンダの両チームとともに懸命に開発を続けていきます」ピエール・ガスリー (レッドブル・ホンダ)「とても難しい一戦ではありましたが、マシンの手ごたえはよかっただけに、今日の結果は残念でした。もっと戦えるポテンシャルはあったはずです。トラフィックに苦しみ、(熱により高温になる)ブレーキをいたわらなければなりませんでしたが、今日の結果以上の位置を望んでいました。次戦までになにが改善できるか全てを解析し、僕自身も更に努力する必要があると思います。もっといいペースで走れるように改善し、更に競争力のあるかたちで次戦の母国グランプリを迎えたいです」マックス・フェルスタッペン (レッドブル・ホンダ)「今日のレースは計算通りに進められた一戦になりました。トラブルを避ける為にレース序盤は無理をしない選択をしましたし、後半もあれ以上はできることがなかったと思います。トラフィックを避けるために最初のスティントは長くコースに留まりましたがうまくいったと思いますし、ピットイン後はすぐにルノーをオーバーテイクできました。その後は自分の走行に集中しレースを進めることができましたが、トップ争いに食い込めるほどの速さはありませんでした。何度かオーバーテイクをすることができたし、ポイント獲得という結果で締めくくれたのはよかったですが、5位というのが現実的に可能な結果だったと思います。この週末は“僕たちのレースウイーク”とは言えないものでしたし、よりよい結果を望んでいました。次戦のレースでトップとの差を更に縮められるようチーム一丸となって取り組んでいきます」アレクサンダー・アルボン (トロロッソ・ホンダ)「今日の決勝はとても厳しい一戦になりました。スタート直後にフロントウイングのダメージを負った時点で、僕のレースはほとんど終わってしまいました。僕がブレーキを踏むタイミングを遅らせていれば、ペレス選手がインに入り接触を避けられたかもしれませんが、起こってしまったことは仕方がありません。正直なところ、その後もあまりペースがよくはなかったので、原因を解明しなければなりません。このレースウイークでロングランでの走行に少し苦戦をしたので、原因を見つけ出し改善したいと思います」ダニール・クビアト (トロロッソ・ホンダ)「とても楽しいレースでした。ポイントを獲得できずレースを終えるのはどうしても避けたかったので、11番手でレースを終えたくありませんでした。レース終盤でサインツ選手といいバトルができました。彼とはよく限界ギリギリのバトルになり、いつも楽しんでいますが、最終的にオーバーテイクできるのはいい気分です。決勝ではマシンのポテンシャル全てを引き出すことができたので、結果にとても満足しています。次戦では更に多くのポイントが獲得できるよう、これからも最善を尽くして取り組んでいきます」