ホンダF1は、参戦準備からこれまでの3年間現場のチーフを務めたHRDの中村聡が、開幕戦を最後に現場から離れ、4月から日本のさくらをベースにパワーユニット(PU)の開発に携わることを明らかにした。ホンダF1は、ここ数カ月で中村聡以外にも何人かのメンバーが入れ替えというかたちで、ミルトンキーンズからさくらに拠点を戻している。
だが、ホンダF1はそれらの異動はホンダの開発体制として次のステップであり、現代F1のサーキット現場を見た者が開発現場に戻り、その知識と経験を開発に還流するためのものだとしている。中村聡は「これまで厳しい戦いでしたし、自分としての達成度は50%くらいしかない。もちろん悔しい思いばかりです」とコメント。「これから日本の開発部門とレース現場をよりうまく繋げる仕事となりますが、これまで経験した中で感じたホンダに足りないものを埋めて、より効率的にレベルを上げるやり方などを考え実践していきます」「この3年で実感したことは『F1は難しい』ということ。当たり前ですが、我々がトップに追いつくには彼らの倍以上のスピードが必要です。今の複雑なF1のパワーユニットにおいて、それは言葉では言い表せないくらい難しいことです」「でも勝つためには、それを乗り越えなければならない。このままでは終われないんです」と中村聡はチーフエンジニアとして最後となる現場で力強く語った。