本田技研工業のモータースポーツ部長の山本雅史が、ホンダのF1活動継続、マクラーレンとのパートナーシップ解消、そして、トロ・ロッソとの新たな3年契約について語った。F1シンガポールGPの週末、マクラーレンとホンダが3年間のパートナーシップにピリオドを打ち、2018年からホンダはトロ・ロッソへF1パワーユニット供給し、マクラーレンはルノーからF1パワーユニットの供給を受けることが発表された。
トロ・ロッソとの新たなワークス体制は、これまでと違ったアプローチになるようだ。山本雅史はマクラーレンとトロ・ロッソというチームを料理に例えて説明した。山本雅史は「マクラーレンと組んでみて分かりましたが、企業の規模が大きいと、とてもシステマチックになります。もちろん、それが大きな強みであることは間違いないのですが、同時に変化に適応していくことは難しくなります」とHonda Racing F1の公式サイトでコメント。「その点、トロ・ロッソはまだ成長途上にある企業です。同じゴールを目指して一緒に歩んでいける関係であることが重要です。いいコミュニケーションをとりながら仕事ができることを、本当に楽しみにしています」「例として、両チームを別々の料理として比較すると、マクラーレンは非常に洗練されたフランス料理だとしましょう」「トロロッソは、新しい食材を加えることができるような自家製の美味しいシチューのようなものです。我々はそれをすることに興奮しています」マクラーレンとパートナーシップを解消することになったホンダだが、F1撤退は決して考えていなかったと山本雅史は語る。「モータースポーツは、ホンダのすべてであり、我々のDNAの一部なんです」とコメント。「1948年の創業以来、F1はホンダにとっての夢であり、その言葉通り、1964年にF1参戦を叶えました。レースは、力を示して技術的な挑戦をする場であり、途中で投げ出すという考えは、ホンダのフィロソフィにはありません。進化と成長を示すためにここにいるわけで、非常に重要な場です」厳しい戦いを強いられた3年間を経てマクラーレンとの提携終了が決まり、それに変わってトロ・ロッソへの供給が決まった。この交渉はイタリアGPでまとまったが、山本雅史はそれをまとめるために奔走したと語る。「マクラーレン・ホンダのモットーは“ワン・チーム”であり、パフォーマンス向上のためにともに努力してきました。しかし、我々はプレシーズンテストの時点で望んだような結果が出せなかった。これによって、シーズン序盤から想定していたパワーが出せず、マクラーレンの期待にも届きませんでした」「もちろん、ホンダはマクラーレンとの関係継続を望んでいましたが、それに足るだけのパフォーマンスや信頼性の目標をクリアできませんでした。これがお互いの関係性に関係を来し、その結果として残念ながら離別を選ぶことにつながりました。F1の世界では結果を出すことが重要なので、本当に悔しいですが、こういったこともやむを得ないと考えています」今シーズンのアブダビGPでマクラーレンへの供給は終了するが、ホンダにはF1プロジェクトを成功させようという強い意志がある。2021年から新エンジンレギュレーションが導入されるが、それまでまだ時間は多くあるので、今季から導入したパワーユニットのコンセプトを熟成していけるはずだ。「現行レギュレーションは2020年まで有効で、まだ3年あるわけですから、技術的な進化を見せていきたいと思っています。ホンダのポテンシャルをしっかりと示したいです。世界中へ我々の進化を見てもらい、ホンダがどうやって成功に至るのかを示すことが大切です」新たなパートナーとなるトロ・ロッソは、若いチームであり、ホンダも参入3年目とパワーユニットサプライヤーとしては新参メーカーだ。双方が、ともに成長することに強い情熱を抱いている。山本雅史も、こうした方向性の一致が有益であり、トロ・ロッソ・ホンダの2018年へ向けた準備はスムーズに進むと考えている。「まず、(チーム代表である)トストさんは日本について造詣が深く、文化を理解しているので、いいコミュニケーションが取れています。また、トロ・ロッソは若いチームで成長の最中にあり、ホンダにとっては、似たようなメンタリティー、アプローチでともに戦えるということも大きいです。考え方の近いチーム同士、一緒に前進できると思います」「トロ・ロッソとホンダは来季に向けて早急に準備を始めていきます。また、(シンガポールGPを含む)2017年の残り7戦はマクラーレンとともに戦うわけなので、ここでいいパフォーマンスを見せるとともに、彼らともしっかりコミュニケーションをとっていかなければなりません」
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