ハースF1チームのチームプリンシパルを務めるギュンター・シュタイナーは、過去4年間でメルセデスのF1エンジンのパワー面の優位性を享受されてきたカスタマーたちが、フェラーリのF1エンジンのゲインに不満を言うのはお門違いだと語る。メルセデスは、2014年にF1がV6ターボハイブリッド時代に投入して以降、エンジン勢力図を支配してきたが、フェラーリは過去2年間で大きな改善を見せ、今年はメルセデスを抜いてF1パワーユニットのベンチマークになったと広く考えられている。
フェラーリのF1パワーユニットの改善により、カスタマーであるハースとザウバーもミッドフィールドで順位を上げており、特にエンジン以外にもフェラーリから多くのパーツを購入しているハースは、フェラーリ、メルセデス、レッドブルに次ぐ“ベスト・オブ・ザ・レスト”の地位を確立しつつある。「メルセデスのカスタマーは不満を言うべきではない。彼らは過去4年間に非常に優れたエンジンを手に入れていたわけだからね」とギュンター・シュタイナーはコメント。「このレギュレーションの最初の数年間は、メルセデスのエンジンでなければ、どうにもならなかった」「今はフェラーリがメルセデスを追い越している。そして今はフェラーリのエンジンを持っている全員が批判されている。『良いエンジンを持っている』とね」「そうだ、我々には良いエンジンがある。メルセデスのカスタマーは過去4年間でそうだったのに、それを生かすことができていなかった。我々にどうしろと言うんだ?」「非常に満足している。他チームが不満であっても、私に彼らを助けることはできない」ライバルチームからは、すでに今年フェラーリのエンジン性能が明らかになる前からハースF1チームとフェラーリとの技術関係について疑問を呈していた。2010年にF1に新規参入を果たしたHRT、ヴァージン(後のマルシャ、マノー)、ロータス(後のケータハム)が失敗に終わった後、F1のリスト化/非リスト化されたパーツに関するレギュレーションの恩恵を受け、2016年に新規参入を果たしたハースは、フェラーリとの緊密な技術パートナーシップによってより低コストで競争力を発揮することに成功している。2010年の3チームについてギュンター・シュタイナーは「愚かな人々というわけではなかった。とにかくF1は非常に難しいスポーツだ」とコメント。「我々はレギュレーションで認められているので、異なる方法を試したところ、それが他よりもうまくいったように思う」「今後、誰かが我々のビジネスモデルを真似したとしても、私としては構わない。全員にそうする自由があるし、それは良いことだ。それがスポーツをより良くするのであれば、満足だし、それについて問題はない」マクラーレンのフェルナンド・アロンソは、ハースを“フェラーリのレプリカ”だと皮肉を込めて評したが、ハースのドライバーを務めるロマン・グロージャンは、ライバルからのそのような指摘は「僕たちを笑わせるだけだ」とコメント。「僕たちは、フェラーリと関係を築いて、サスペンション、ギアボックス、エンジンを得られることをわかっていた」とロマン・グロージャンはコメント。「僕たちにはそのようなパーツを製造できるリソースはないし、そうすることを望んでもいない」ギュンター・シュタイナーは「彼らがそこにこだあって、我々が違法行為をしていると考えたとしても、私はそれについて考えさえしない」と付け加えた。「彼らが申し立てている事実が間違いだとわかっているし、あまり気にしていない」ハースF1チームは、現在コンストラクターズ選手権で5位に位置しており、いくつかのサーキットでは4番目に速いパフォーマンスをみせている。コンストラクターズ選手権4位のルノーとの差は16ポイント差であり、オーストリアGPではロマン・グロージャンが今季のベストリザルトなる4位フィニッシュを達成している。その結果についてロマン・グロージャンは「人々はチームの3年目のチームである僕たちがコンストラクターズ選手権4位を争うなどと言っていたら笑っていただろう。でも、僕たちはここにいる」と語った。