ハースF1チームの“アメリカ人ドライバー侮辱発言”に批判の声が続出している。アメリカのF1チームであるハースは、アメリカ人ドライバーを起用したいという願望を秘密にはしていないが、チームプリンシパルを務めるギュンター・シュタイナーは“現時点ではF1レベルのアメリカ人ドライバーいない”と発言。
この発言に対して、現役のインディカードライバーは猛反発。グラハム・レイホールは「完全にでたらめな発言だ。ハースF1チームが本当にそう信じているのであれば、どうして僕たちの何人かに声を掛けて、挑戦させないんだ?」とTwitterで反論。「アメリカ人ドライバーはかなり有能だ。僕はそう信じてる。ここには有能な人ドライバーがたくさんいる。インディカーにいた方がいいだろうね。こっちの方がはるかにコンペティティブだ! ハースF1チームのメンタリティはいつもおかしい。『アメリカ人は不十分だ』と言っておきながら、チャンスを与えることもない。僕たちとしても時間の無駄だけどね」また、コナー・デイリーも「“アメリカン”チームを名乗っておいて、どうして“母国”のドライバーを完全に否定することができるんだろう? こっちでは確立されたアメリカ人ドライバーを検討したような話は聞こえてこない」とハースはアメリカ人ドライバーにチャンスを与えていないとのレイホールの意見に同意した。元F1ワールドチャンピオンのアメリカモーターレース界のレジェンドであるマリオ・アンドレッティも「間違いであり、傲慢な発言だ!!」と非難。さらにインディ500のウィナーでチャンプカーで複数のチャンピオンに輝いているジル・ド・フェランも現在のアメリカ人ドライバーにF1にステップアップできる人材はいないとするのは不公平だと述べた。しかし、アメリカの小さなシングルシーター界はF1のチャンスの助けにはならないとも語る。「私はそれが公平な主張だとは思わない」とジル・ド・フェランはオートスポーツ・インターナショナルでコメント。「素晴らしいアメリカ人ドライバーはたくさんいるし、現在のインディカーチャンピオンは非常に才能のあるドライバーだ。若いアメリカの才能はたくさん育っていると思う。だが、彼らはストックカーレースという他のレース分野に焦点を置いている。トニー・シュチュワート、ジェフ・ゴードン、ジミー・ジョソンのように現在は年齢が高く、もしくは引退しているドライバーもいるが、彼らは非常に才能のある個人だ。だが、早いうちに彼らはその分野に進んだ。公平のために言えば、それは非常に難しい。トップのアメリカの才能の多くが大きな木の枝に進む。そのためプールはより小さくなる」「それ以外にも(アレキクサンダー)ロッシは非常に優秀だと思うし、ニューガーデンも非常に優秀だ。他にも若い才能は数名いる」ヨーロッパに向かうアメリカ人のシングルシータードライバーを取り巻く環境に落胆しているかと質問されたジル・ド・フェランは「何年もなかなか事態は進まない」とコメント。「ヨーロッパからアメリカに来るものもいるが、その逆はまったくない。インディカーとF1は異なる。それは他のことよりも個人により関係していると思う」「(セバスチャン)ブルデーはアメリカとインディカーで輝かしいキャリアを築いたし、彼はヨーロッパでもシングルシーターでとても良かった。セバスチャン・ベッテルが彼を倒したことは知っているが、彼はキミ・ライコネンも倒している。くだらない考えだと思う。彼はベッテルと同じくらい優れていたが、彼は4度のチャンピオンだ」「だが、(ファン・パブロ)モントーヤは両方で非常に成功を収めたし、(ジャック)ヴィルヌーヴはワールドチャンピオンを獲得した。個々の問題だ。同じようにナイジェル(マンセル)はアメリカにわたってうまくやってのけた」今回だけでなく、過去に2017年にインディカーのチャンピオンを獲得したジョエフ・ニューガーデンがトロ・ロッソの2018年のドライバー候補として名前が挙げられた際にもギュンター・シュタイナーは“苦しむだろう”と発言。これを侮辱と受け取ったアメリカのモータースポーツ界を怒らせている。当時、ギュンター・シュタイナーは「私はジョセフが成功しないと言っているわけではない。だが、ただ飛び込むことはできない」と弁明している。「他のシリーズからF1に飛び込んでくるのは難しいことだ。プレッシャーは大きい。ここのプレッシャーはとてつもないものだ。3レースで結果を出せなければ、自分は馬鹿げていたと知ることになる。そして、出ていかなければならない。アメリカ人を起用して、彼を失敗させるのは彼によって良いことではない。それはアメリカでのF1にとっても良いことではないし、我々にとっても良いことではない」
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