メルセデスF1のジョージ・ラッセルは、2026年型マシンへの適応に苦戦している理由について、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画『モナ・リザ』を例えに用いて説明した。ラッセルは問題点そのものはデータで明確に把握できているとしながらも、それを実際の走りで再現する難しさが現在の最大の課題だと語った。
データでは原因が明確になっている2026年シーズンのラッセルは開幕戦オーストラリアGPと第8戦オーストリアGPで優勝を飾った一方、チームメイトのキミ・アントネッリに対して苦戦が続いている。アントネッリは中国GPからモナコGPまで5連勝を達成し、一時はランキングで68ポイント差を築いた。その後、スペインGPとイギリスGPでアントネッリが信頼性トラブルに見舞われたことで差は25ポイントまで縮まったものの、シルバーストンではラッセルが大きく後れを取り、アントネッリはトラブルがなければ優勝争いを演じる速さを見せていた。ラッセルは、自身の苦戦について原因は明確だと説明した。「データを見ると本当に明確で、解決できる問題なんだ。過去には他のドライバーや以前のチームメイトで、なぜ遅いのか分からず頭を抱えているケースも見てきた」「僕は優勝できなかったり、ポールポジションを獲れなかったりした理由がデータではっきり分かっているし、改善すべき点も理解している。ある日突然運転の仕方を忘れて、翌日になって思い出すような話ではない」「問題はマシンを理想的な状態に持ち込めていないことだ。昨年はマシンやセットアップ、タイヤの性能を最大限に引き出せる確率が非常に高かった。でも今年はその成功率が大きく下がっている」『モナ・リザ』を例に適応の難しさを説明なぜ問題点が明確なのに改善できないのかと問われると、ラッセルは世界的な名画『モナ・リザ』を引き合いに出した。「例えば誰かに『モナ・リザを描いてほしい』と言われて、本物のモナ・リザが目の前に置かれていたとする。それですぐ同じように描けると思う?」「練習すればできるようになるかもしれない。でも新しいパワーユニット、新しいタイヤ、新しいマシンでは、自分のドライビングスタイルに合わないセットアップで走らなければならないし、これまでのキャリアで一度もやってこなかった運転の仕方に適応しなければならない」ラッセルは20年間積み上げてきた運転スタイルを変える難しさを率直に語った。「何をしなければならないかは分かっている。でも20年間ずっと同じやり方で成功してきたものを、実際に変えるのは簡単ではない。今年はそれが半分くらいしか機能していない」「週末ごとに『いつもの走り方で通用するのか、それともアプローチを変えるべきなのか』を見極めなければならない。そして変えるなら、どうすれば速さを維持できるのかを考えなければならない」無意識で走れる領域を取り戻すことが課題ラッセルは、これまで最高のパフォーマンスを発揮できたときは、運転について意識的に考える必要がなかったと振り返る。「最高の走りができていたときは、無意識に運転していた。運転そのものを考える必要すらなかった」「今は新しいテクニックを身につけ、それを無意識にできるレベルまで落とし込まなければならない。そのプロセスこそが今の最大のチャレンジなんだ」2026年の新レギュレーションでは、新型パワーユニットやタイヤ、車両特性への対応が各ドライバーに求められている。ラッセルは自身の課題を「原因が分からない苦戦」ではなく、「理解していることを自然に実践できるレベルまで適応する過程」と位置づけ、その難しさを『モナ・リザ』という分かりやすい比喩で表現した。