2025年F1サンパウロGPスプリントで、ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ランド・ノリス(マクラーレン)が「マリオカート戦法」を使ったと冗談交じりに語った。スプリントを制したノリスはチャンピオンシップのリードを9ポイントに拡大したが、その裏でチームメイトのオスカー・ピアストリがウェットコンディションの中でクラッシュ。二人の明暗がくっきりと分かれた。
マクラーレンのピアストリは、ターン3立ち上がりの縁石で水たまりに乗り上げてスピン、バリアに激突。サウバーのニコ・ヒュルケンベルグとアルピーヌのフランコ・コラピントも同じ場所でスピンを喫した。リプレイでは、その直前にノリスがややワイドに走行し、路面に水を撒き上げていた様子が映し出された。ノリスはその場面について「予選ではいつも使う縁石なんだ。今回は少しワイドになってしまって、水が跳ね上がるのを見たけど、それだけだった」と説明している。この発言に隣で聞いていたラッセルがすかさずジョークを飛ばした。「まるでマリオカートでバナナを後ろに投げるみたいだったね」と笑い、「この人はグリッドでいちばん賢いよ!」と付け加えた。メルセデスのキミ・アントネッリも、チーム無線で「ノリスが水を撒いている」と報告していたと明かしている。「僕は最初からずっと縁石を避けるようにしていた。特に序盤はとてもトリッキーだったからね。ノリスが水しぶきを上げているのを見て、より慎重になった」と語った。一方、ピアストリは自らのミスを悔やむ。「縁石の白線に片輪を落としてスピンしてしまった。愚かなミスだと思う」と語り、「残念だけど、明日の決勝ではまだ多くのポイントがある。予選でいいスタート位置を取れるよう、最善を尽くすよ」と前を向いた。スプリント勝者ノリス、勝負強さとしたたかさインテルラゴスの湿ったコンディションのなか、ノリスはリスクを最小限に抑えつつも圧倒的なレースマネジメントを見せた。マクラーレン勢が相次いでトラブルに見舞われた中、彼は冷静にラインを保ち、微妙なコンディション変化を味方につけた。ラッセルの冗談が示すように、ノリスの走りは偶然ではなく「意識的なリスク管理」に裏打ちされたものだった可能性もある。結果的にピアストリのスピンが後続の混乱を誘発し、ノリスは独走態勢を築いた。サンパウロでのスプリント勝利は、タイトル争いにおける心理的優位をさらに強める一戦となった。
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