ジョージ・ラッセルは、F1モナコGPでアレクサンダー・アルボンを追い越すために意図的にコーナーをカットしたことについて、後悔はしていない。ラッセルは数周にわたりアルボンの後方に詰まり続けていた。アルボンはウィリアムズのチームメイトであるカルロス・サインツを助けるためにペースを落としていた。
モナコ市街地でのオーバーテイクがほぼ不可能な状況で、ラッセルは自らの手で打開策を講じた。彼はヌーヴェルシケインを意図的にショートカットし、アルボンを追い越した。この動きによってラッセルはクリーンエアを得て、アルボンに対してピットストップ1回分のギャップを築くことができた。しかし、ラッセルには通常の10秒ペナルティより重いドライブスルーペナルティが科された。レース後、Sky Sportsのインタビューでラッセルは、アルボンの後ろに詰まっていた時に「どうでもいいや」と思った理由を語った。「これがモナコだよ。そういうゲームなんだ」とラッセルは語った。「朝の時点でキミ(アントネッリ)と僕の間で戦略を立てていたけど、ウィリアムズやVisa Cash Appが同じことをやってくるとは思ってなかった。結局、モナコでまともなポイントを取るには、そうするしかなかったんだ。やってもやらなくても詰んでた。ある時点で『もうどうでもいい』って気持ちになった。ポイント圏外だったし、どのみち何にもならなかったから、ただモナコを走るのを楽しみたかった。昨日のトラブルで全てを失って、予選を戦う機会すらなかったんだから。モナコで全開で25周も走れたし、皮肉なことにドライブスルーを受けたとしても、そのまま走っていた場合よりも良い順位で終わったと思う。あのままだったらアルボンの後ろで詰まって、角田(裕毅)やヒュルケンベルグの後ろでピットしてたはずだから。正直、このシステムにはちょっと問題があるよね」FIAの見解FIAは、このペナルティが通常より厳しいものになった理由として、ラッセルのオーバーテイクが「故意」であったことを挙げている。ラッセルはレースを11位でフィニッシュし、あと一歩でポイント圏に届かなかった。スチュワードの裁定にはこう記されている。「63号車はターン10でコースを外れ、23号車を追い越した。その後も順位を戻さずに走行を続けた」「無線のやり取りからも分かる通り、彼は『ペナルティを受ける』と言っており、自らが23号車の“異常な走行”に妨害されていると感じ、意図的に追い越しを行ったことは明白だった」「このような事態を想定し、スチュワードの要請でレースディレクターは全チームに対して、今回のモナコGPではターン10での故意のコース逸脱による追い越しに関して厳しく判断すること、また、通常の10秒ペナルティでは不十分と見なす可能性があることを事前に通知していた」「そのため、63号車の故意による違反はドライブスルーペナルティに値すると判断し、その処分を科した」