2024年F2王者であり、今季キック・ザウバーからF1デビューを果たしたガブリエル・ボルトレトが、自身のルーキーシーズンにおける最大の挑戦は予想外にも「メディア対応」であると明かした。弱いパッケージとされる現行マシンに苦しみながらも、ボルトレトは複数回のQ2進出を果たし、堅実なスタートを切っている。しかし、経験豊富なチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグがすでにポイントを獲得しているのに対し、ボルトレトにはまだ入賞歴がない。
そんな中でもヒュルケンベルグは、特に初めて走るサーキットにおいて重要なデータと経験を提供する貴重な存在だとボルトレトは評価している。だが、彼にとって最大の試練は別のところにあった。「正直に言って、これまでのところはかなり順調だと思う」とボルトレトは語った。「新しいサーキットにも適応できているし、強力なチームメイトがいることで多くのことを学べている。ただ、ルーキーにとって本当に難しいのは、新しいサーキットそのものじゃない」「もっと複雑な要素がある。たとえば、メディア対応だ。F2ではこんなことはなかった」F2時代には、木曜日にサーキット入りしてエンジニアと話し、自由時間もあり、レースのことだけを考えていればよかったという。しかしF1では事情がまったく異なる。「F1では、スポンサーやメディア対応など、多くの義務がある。悪いことではないけれど、他のカテゴリーに比べて明らかに時間を取られる」とボルトレトは続けた。「僕は6歳からレースを始めて、ほぼ15年間こんなことは一度もなかった。F1に来てまだ数か月だけど、これだけのメディア対応やスポンサーとの時間のやりくりに慣れなければならない。そのうえで、なおかつトラック上でベストなパフォーマンスを出さなければならない。これがルーキーにとって最大の課題だと思う」F1におけるルーキーとしての挑戦は、走行そのもの以上に、メディアや外部対応という“見えないレース”とも言えるプレッシャーとの戦いであることを、20歳のブラジル人ドライバーは身をもって体感しているようだ。