フォーミュラEは、2026年末から導入されるGen4マシンに向け、すでにブリヂストンとの連携を本格化させている。CEOジェフ・ドッズは、同社との“例外的な関係性”を強調しつつ、現サプライヤーであるハンコックへの敬意も忘れない姿勢を示した。ブリヂストンのフォーミュラE復帰は、2009年のF1撤退以来となるシングルシーター・トップカテゴリへのカムバック。既にFIAと協力して実車テストを進めており、開発用Gen4ミュールカーは8,000km以上を走破済みだという。
ドッズCEOが語る「ブリヂストンとの関係は例外的」フォーミュラE CEOジェフ・ドッズは、Gen4時代を前にしてブリヂストンとの間にすでに構築された「例外的」な関係を説明した。ブリヂストンはGen4のタイヤサプライヤーに選ばれ、今季限りでシリーズを去るハンコックに代わることになる。ハンコックはGen3時代を通してタイヤ供給を担ってきた。フォーミュラEは現在、ハンコックへ公平なフェアウェルを与える必要がある一方、ブリヂストンとの準備も同時に進めなければならない状況にある。ブリヂストンのフォーミュラE参入は、2009年末にF1でピレリに置き換えられて以来となるシングルシーターモータースポーツへの復帰を意味する。タイヤメーカーはすでにFIAと広範に協力し、Gen4に向けた激しいテストプログラムでそのタイヤが試されている。元F1テストドライバーのジェームス・ロシターが走らせるGen4ミュールカーは、すでに8,000km以上を走行。現時点でブリヂストンの作業は順調であり、ドッズも深い印象を受けている。「我々には現在のタイヤパートナーであるハンコックとの契約があと1年残っている。Gen3を共に実現してきたハンコックには素晴らしい仕事をしてもらったし、タイヤ面での開発も続けてくれている」とドッズはRacingNews365に語った。「だからまず第一に、我々の関係の焦点は“今この瞬間”のGen3を実現してくれているハンコックにある。彼らへの感謝の気持ちは常にそこにある。ブリヂストンとの関係について言えば、例外的だと表現するだろう。「ホンダ時代からブリヂストンのことは知っているし、長年にわたって彼らと仕事をしてきた。彼らは、特にモータースポーツにおいて、仕事に対して信じられないほど真剣に取り組む会社だ。「つい数カ月前、日本でブリヂストンの石橋秀一CEOと会い、将来のパートナーシップについて長く話した。彼は退任を発表しているが、後任の森田康宏氏もその場にいた。「つまり、我々は非常にデリケートなバランスを取らなければならない。ブリヂストンはFIAと独占的に協力してGen4用タイヤを開発している。一方でハンコックはGen3最後の1年に素晴らしいタイヤを供給してくれている。最後のシーズンを最高の形で締めくくりたい」ブリヂストン復帰の背景と“F1ではなくフォーミュラE”を選んだ理由ブリヂストンが約15年ぶりにトップフォーミュラへ帰還する舞台に「フォーミュラE」を選んだことは象徴的だ。以下が主なポイントである。■ 電動化×サステナビリティの方向性が完全一致フォーミュラEは“持続可能なレースシリーズ”として明確なロジックを持つ。2030年カーボンニュートラル目標を掲げるブリヂストンにとって、FEはF1よりも企業戦略との親和性が高い。■ タイヤ競争の自由度が高いF1は単独サプライヤーで“ショーのためのタイヤ演出”が求められる。一方、FEは開発要素が明確で、技術的な競争性も残る。ブリヂストンが重視する領域だ。■ Gen4は大きな技術チャレンジGen4マシンはパワー増加、再生エネルギーの増大、そして激しいストリートコースでの耐摩耗性能という難題が重なる。これもブリヂストンにとって高い技術的意義を持つ。■ “8,000kmテスト済み”は異例の早さF1での開発と同様、膨大なデータを基にしたタイヤ開発を得意とするブリヂストンらしいスタートの速さだ。すでにFIA・FE双方から高い信頼を得ていることがうかがえる。■ ハンコックへの敬意を忘れない姿勢ドッズが繰り返し「ハンコックへの感謝」を述べている点も印象的。シリーズ運営として重要な“関係維持”を非常に丁寧に行っている。