F1は、2026年F1レギュレーションの中核要素について、名称を簡素化する方針を決めた。複雑化する新時代の規則を、ファンにとって分かりやすいものにする狙いがある。英オートスポーツ誌やThe Raceが最初に報じたように、FIA(国際自動車連盟)とFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は、2026年F1規則があまりに複雑である場合、観戦者が実際に何が起きているのか理解できなくなるリスクを懸念していた。
F1の調査では、グランプリ特有の用語が必ずしもファンに浸透していない事例が繰り返し確認されている。例えば、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)は約15年にわたってF1で使用されてきたにもかかわらず、フォーカスグループに参加したファンのうち10%以上が、その意味を即座に理解できていなかったという。複雑化する2026年F1と用語整理の必要性2026年F1では、エネルギー配分の新要素やウイング設定の変更などにより、近年と比べてはるかに複雑な技術構成となる。そのため、説明方法を誤れば、状況が制御不能になるリスクが高まると判断された。実際、いくつかの要素は早い段階から問題視されていた。例えば、Manual Override Modeを意味する「MOM」という略称は、意図しないコミカルな連想を招く可能性があった。また、当初「Xモード」「Zモード」と呼ばれていた新しいアクティブエアロ設定も、分かりにくい名称だと受け止められていた。こうした背景を受け、FIA、F1、チーム、エンジニア、さらにファンのフォーカスグループとの協議を経て、主要要素に使用する新たな用語が合意された。これらは、以下の4つのカテゴリーに整理されている。オーバーテイクモード(OVERTAKE MODE)従来レギュレーションでManual Override Modeと呼ばれていたものに代わる名称だ。指定された検知ゾーンで前走車から1秒以内に入った場合、ドライバーはライバルを追い抜くため、ラップ中に追加パワーを使用することが許可される。ブーストモード(BOOST MODE)エネルギー回生システム(ERS)で回収されたバッテリーエネルギーを通常使用するモードだ。後続車から防御する場合でも、前車を攻撃する場合でも、ドライバーはボタン操作ひとつで、コース上のどこでもエンジンとバッテリーの最大出力を得ることができる。リチャージ(RECHARGE)回収エネルギーを使ってバッテリーを充電している状態を指す。リフト・アンド・コースト、ブレーキング、さらには一部コーナーでスロットルを開けたまま走行することなど、複数の方法で行われる。アクティブエアロ)ACTIVE AERO可動式のフロントおよびリアウイング要素を指し、コースの各区間でドラッグとダウンフォースのレベルを調整する。高ダウンフォースの「コーナーモード」と、低ドラッグの「ストレートモード」が用意され、ラップ中に使い分けられる。2026年F1マシンの概要これら主要要素の正式名称が水曜日に確定したのと同時に、FIAとF1は2026年F1マシンの最新レンダリング画像も公開した。新世代マシンは、2025年型と比べて約30kg軽量化される見込みだ。フロア下のグラウンドエフェクトトンネル縮小により、ダウンフォースは15〜30%低下すると予想されている。一方、アクティブエアロの導入により、ドラッグは約40%削減される見通しとなっている。