FIA(国際自動車連盟)は来年、極端なウェットコンディションでF1マシンからの水しぶきを減らす取り組みの一環として、ウェットタイヤテストを実施する。最新世代のF1マシンでは、タイヤやディフューザーから発生する水しぶきが視界を制限するほどの影響を及ぼすことがドライバーたちから指摘されている。
これはしばしば、レースを開始したりセッションを中断したりするのに十分な安全性があるかどうかを判断する要因となり、ドライバーたちはチーム無線で視界について不満を漏らすこともある。FIAシングル・シーター・ディレクターのニコラス・トンバジスによれば、テストの目的は、これがタイヤの設計に起因するものなのか、それともマシンに変更が必要なのかを明らかにすることだという。「スプレーを減らしたいのは明らかです。フェラーリの協力を得て、春にスプレー低減テストを行う予定だ」とトンバジスはメディアに語った。「そのときに、この問題の何割がクルマのコンフィギュレーションによるものなのか、何割がタイヤのせいなのか、最終的な答えを出すつもりだ」「シミュレーションでは、そのバランスを正しく取り、CFD だけでこの質問に答えるのは非常に困難だ。そのため、テストを行ったときに答えを出すことになる」。FIAとピレリは今年初め、シルバーストーンでホイールアーチ・ソリューションのプロトタイプを走らせたが、現行仕様のタイヤではスプレーの量を減らす効果がないことが証明された。トンバジスは、フェラーリとのテストでクルマやタイヤに対策が必要かどうかを評価する予定であめ、まだホイールカバー・ソリューションを廃止するつもりはないと語った。「その上で、もしタイヤが(問題の)大きな割合を占めているのであれば、2026年までにはウルトラウエットレース用のホイールカバーソリューションを用意することになるだろう」とトンバジスは説明する。「結論がタイヤではなく、シャシーのディフューザーに問題があるのであれば、マシンにもう少し手を加える必要があるし、シミュレーションもできる。しかし、4月の実験ではこのデータが必要だ」。ミュラーカーを使用するFIAウェットテストに加え、FIAは将来的に16インチタイヤのテストでもミュールカーを走らせる計画だ。「16インチタイヤテスト用のミュールカーについては、現在チームと話し合っているところだ」とトンバジスは語った。「というのも、2021年レギュレーション世代のマシンは、新しいホイールとタイヤを装着するための改造がかなり容易だからだ。今回は少しシンプルだ。そのため、そのようなテストのためのプラットフォームに簡単になれると信じている」