FIAでテクニカルディレクターを務めるジル・シモンは、F1は適切なバランスを達成することができれば、洗練されたテクノロジーとエンターテインメントが互いを打つ消し合うことはないと考えている。過去にルノー、フェラーリ、ホンダでF1に関わってきたジル・シモンは、昨年9月にFIA(国際自動車連盟)の技術責任者に任命された。現在、F1は2021年以降のエンジンレギュレーションを策定しており、エンジンサプライヤーの新規参入を目指してパワーユニットの単純化を目指している。
ジル・シモンは、F1はショーを改善する必要があることを認識しているが、テクノロジーとエンターテインメントは競争できると主張する。「エンターテインメントとテクノロジーが互いに抵抗するとは思わない」とジル・シモンは Racecar Engineering にコメント。「我々のチャンピオンシップのプロモーターは、最後の瞬間まで面白く、スペクタクルで、良いショーを提供したいと思っている。それがファンの心を掴む最善の方法であり、一般的に全てのスポーツ、全てのエンターテインメントにおいて大切なことだ」「モータースポーツで特有なのはそこにモーターがあることだ。すでにテクノロジーがそこにある。ファンの興味の一部はクルマに関することだ。戦いだけでなく、クルマの美しさも重要だ」「スペクタクルで速いクルマであることが重要であり、どんな種類のレースを観るものであっても、クルマのエンジニアリングは重要だ。それがクルマを速くする理由であるし、そのように行動する理由だ。ショーの一部はテクノロジーによるものだ」「テクノロジーとエンタテインメントの間に敵対はないし、とにかく各チャンピオンシップでバランスが取れる必要がある。コストを許容可能な範囲にとどめる必要がある。この問題はおそらくモータースポーツの各フォーミュラの持続可能なモデルを持つことであり、F1、耐久、GTやツーリングカーでどのような予算が当てはまるかを理解することだ。その範囲内でテクノロジーを特定していく必要がある」しかし、ジル・シモンは、F1は自動車業界や市販車との関連性を維持しなければならないと主張する。「6月にガソリンエンジンの会議に出席し、他の人々と議論を交わした。少なくとも2つの大手OEMが排気ガスのエネルギー回生に関するプログラムを開始していることがわかった。彼らはそれがポテンシャルのあるソリーションであることをわかっているからだ」「彼らはそれを研究するために予算を得ることができなかった。彼らが『F1で使うシステムだ』と言うと、すぐに予算を得ることができた」「最先端であることの効果は常にそうだったし、それは我々の産業とスポーツにとって依然として重要なことだと考えている」「テクニカルレギュレーションという側面で我々にとって難しい問題は、コストとその価格に見合う最大限のテクノロジーとのバランスを見つけることだ。我々はいくつかの困難に直面しているが、妥協点を見つけなければならない。問題はシンプルなものだ。適切なバランスを見つけるというね。それは難しいことであり、異なる意見もあるが、我々は合理的かつ正しい方向性を見つけるためにそれを議論していかなければならない」「我々のアプローチは『これがレギュレーションだ』と言うのではなく、むしろ利害関係者とじっくり話し合うことだ」