フェラーリが2026年シーズンに先駆けて導入した「エキゾーストウイング」が、2027年からF1で禁止されることが正式決定した。FIAは技術規則を改定し、排気口周辺にウイングを設置する設計を不可能にする新たな「エキゾースト除外ゾーン」を導入。オーストリアGPではフェラーリが早くもこのパーツを取り外した状態で走行テストを実施しており、将来を見据えたデータ収集を進めている。
FIAが技術開発競争の激化を未然に防止フェラーリが考案したエキゾーストウイングは、ギアボックスとクラッシュストラクチャーを独自に配置することで、テールパイプ後方に小型ウイングを装着する設計だった。このデバイスはディフューザーの実質的な長さを拡大するとともに、リアウイングへ流れる気流を整え、リアダウンフォースを増加させる効果があった。ライバルチームは同じレイアウトを採用するにはホモロゲーション済み部品の再承認が必要となるため、そのままコピーすることは困難だった。その代わり、メルセデス、マクラーレン、レッドブルなどは、レギュレーションで認められていた排気管サポートを利用し、その支持構造を空力デバイスとして活用する設計を取り入れた。FIAはこれらの設計が現行規則には適合していると判断していた一方、このまま放置すれば開発競争が過熱し、新たな技術競争へ発展する可能性を懸念。各チームのテクニカルディレクターとの協議を経て、2027年から全面的に禁止することで合意した。新たな「エキゾースト除外ゾーン」を導入2027年規則では、排気口の外径より20mm大きい円筒状の「エキゾースト除外ゾーン」が新設され、この範囲内にはいかなる車体パーツも配置できなくなる。さらに、これまで認められていた排気管サポートに関する規定そのものも削除され、支持構造を空力目的で利用する余地は完全になくなる。これにより、フェラーリが生み出したエキゾーストウイングだけでなく、他チームが採用した類似コンセプトもすべて使用できなくなる。フェラーリはオーストリアGPで早くも実験開始こうした禁止決定が正式発表された同日に、フェラーリはオーストリアGPのフリー走行1回目で育成ドライバーのディーノ・ベガノヴィッチのマシンからエキゾーストウイングを取り外して走行させた。このテストは主にデータ収集が目的であり、特に低ダウンフォース仕様が求められるサーキットでは、ウイングを装着しないセットアップが有利になる可能性を評価する狙いがある。エキゾーストウイングを外すことで空気抵抗を減らせるほか、排気の背圧も低減できると考えられており、理論上は約10kWの出力損失を防げる可能性があるとされている。FIAは2027年のレギュレーション改定によって、排気周辺を利用した空力開発の余地を完全に閉ざす方針を打ち出した。一方でフェラーリは、禁止を待つことなく実戦データの収集を始めており、2026年シーズン後半の低ダウンフォース仕様に生かせるかどうかを検証していく。