フェラーリが先行して投入した空力コンセプトをライバル勢が相次いで模倣し、2026年F1シーズンの開発競争が序盤から一気に激化している。新レギュレーション導入からわずか数戦で、各チームはリアウイングや排気周辺の空力処理に集中。マクラーレンはフェラーリ発の“マカレナ”リアウイングに独自解釈を加える可能性があり、レッドブルもマイアミで攻撃的な仕様を投入した。
フェラーリの排気ウイングが開発競争の火種にドイツのAuto Motor und Sportによれば、フェラーリはバーレーンテストで排気口の後方にウイング要素を配置し、高温の排気ガスを利用して追加のダウンフォースを生み出す手法を導入した。ライバル勢はこの発想に強く反応した。排気ガスをダウンフォース生成に使うことは、すでに許されない領域だと考えられていたためだ。フェラーリはFIAが定める“リーガリティボックス”の範囲内で、リアアクスル周辺のサスペンション形状とドライブシャフトの配置を工夫。排気ガスの流れを活用できる余地を見つけたとされる。同誌によれば、この効果は1周あたり「数コンマ」に相当する可能性があるという。マイアミで7チームが追随このコンセプトはすでにグリッド全体へ広がり始めている。Auto Motor und Sportは、マイアミGPの時点で7チームが同様の原理に基づいてマシンを変更していたと報じた。ウィリアムズは排気流の中に細く高いエレメントを配置し、アルピーヌは平たく幅広いウイングレットを採用。マクラーレンとレッドブルはテールパイプ下端をバッフルで覆い、メルセデスは排気口にダブルウイングを取り付けたとされる。一方で、フェラーリのオリジナルに近い形で再現できたのはハースF1チームだけだという。ハースF1チームはフェラーリとリアサスペンション構造を共有しているため、この配置を成立させやすい。“マカレナ”リアウイングも模倣対象にフェラーリ発の革新的なリアウイング、通称“マカレナ”も注目を集めている。マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、ライバルのリアウイング設計を詳しく調査していることを認めた。「もちろん見ている。想像できると思うが、すべてのチームは互いに何をしているかを見ている」「賢いアイデアだし、有益になる可能性があると考えている。だから、別のチームが使っているのを見ても驚きはない」フェラーリが先鞭をつけたこのコンセプトには、レッドブルもマイアミで独自の攻撃的な解釈を持ち込んだ。メルセデスはカナダで“W17 2.0”投入へ一方、チャンピオンシップ首位のメルセデスは、マイアミでの大規模アップデート競争には本格参戦しなかった。La Gazzetta dello Sportによれば、メルセデスはW17が開幕時点でベンチマークとなっていたため、序盤戦では大型開発を意図的に温存していたという。しかし、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルがマイアミで相次いで大規模アップデートを投入したことで、メルセデスもカナダGPに向けて大幅な改良パッケージを準備している。同紙は「メルセデス2.0」という表現がすでに出ていると報じた。このパッケージには、空力、メカニカル、ローンチシステムの変更が含まれるとされる。さらに、開幕4戦中3勝を挙げながらスタートに不安定さを見せているキミ・アントネッリを支援するため、ステアリングホイールのクラッチシステムも改良される見込みだ。2026年F1の開発競争は、単なるアップデート投入の速さだけでなく、ライバルの発想をどれだけ早く読み取り、自チームの構造に落とし込めるかが問われる段階に入っている。フェラーリの着想を起点に、カナダGPでは勢力図がさらに動く可能性がある。