フェラーリF1は、中国GPに向けて新たな空力コンセプト「マカレナウイング」の3仕様を上海へ緊急輸送した。開幕戦オーストラリアGPでメルセデスに次ぐ3位と4位に入ったフェラーリは、シーズン序盤から攻めの開発姿勢を見せている。当初はバーレーンGPでの投入が想定されていたアップデートの一部だが、中東情勢の不安定化による開催不透明感もあり、開発計画を前倒しする可能性が浮上。
フェラーリは中国GPのスプリント週末を舞台に、新空力コンセプトの実戦テストに踏み切る構えだ。フェラーリが示した“第2勢力”としての存在感メルボルンでの開幕戦では、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンがメルセデス勢の背後でレースを終えた。事前の状況を考えれば、それは現実的に期待できた最高の結果でもあった。現時点でフェラーリは明確にグリッドの2番手に位置していると見られている。一方で、マクラーレンやレッドブルの巻き返しは予想されているものの、それがすぐに実現するとは限らない。レッドブルは新しいパワーユニット体制の下でパフォーマンスの立ち上がりに苦しんでおり、マクラーレンはメルセデス製パワーユニットのソフトウェア面の理解に課題を抱えていると指摘されている。アストンマーティン・ホンダも現時点ではトップ争いの外にいる。そのためメルボルンでは、トト・ヴォルフ率いるメルセデスに対して実質的にプレッシャーをかけられるチームはフェラーリしか存在しなかった。フレデリック・バスール「我々はさらに多くを理解した」長距離移動を伴う3連戦を前に、フェラーリ代表フレデリック・バスールはチームスタッフにメッセージを送り、開発への意欲を示していた。「今日で我々は少し多くのことを理解できた。目標は他のチームよりも強く、そして速く働くことだ。できるだけ早くメルセデスに追いつきたい」「アップデートは間もなく投入される。中国GP? それは難しい。レースまで1週間しかないからね」そう語っていたが、フェラーリは実際には上海へ新しい空力パーツを送り込むという、より攻撃的な判断を下した形となった。開発計画を変えた中東情勢フェラーリはメルボルンでいくつかの新パーツを導入していた。その中には、FTM(フリックテールモード)排気ウイングレットなどの新しいコンセプトも含まれている。当初マラネロでは、最初の本格的なアップデートパッケージをバーレーンGPで投入する計画だった。コスト上限の存在により、どのレースへパーツを輸送するかは重要な判断となる。検証と製造のタイミングが合えば、中東ラウンドはアップデート投入の有力候補だった。しかし現在、中東情勢の不安定化により4月のレース開催が中止される可能性も指摘されている。この状況は各チームの開発スケジュールにも影響を与え始めている。もし2戦が中止されれば、その分のコスト節約が生まれるため、一部アップデートを早期に投入できる余地が生まれる。その結果、フェラーリは中国GPに向けて計画を前倒しする可能性が出てきた。“マカレナウイング”とは何かパドックで話題となっている「マカレナウイング」という名称は、フェラーリのエンジニアリングチームが開発した新しい空力ウイング設計のニックネームとされている。このコンセプトは車体周囲の気流をより効率的に制御することを目的とした革新的な構造を採用していると見られている。現代のF1では空力性能がマシンの競争力を大きく左右する要素であり、車体のあらゆる面が空気の流れを制御するために設計されている。狙いは、マシンを路面へ押し付けるダウンフォースを最大化しつつ、直線速度を損なうドラッグを最小限に抑えることだ。もしフェラーリがそのバランスを改善する新たな方法を見つけていれば、グリッドの勢力図に影響を与える可能性もある。3仕様投入が示すフェラーリの自信今回特に注目されているのは、フェラーリが3種類の仕様を上海に持ち込んだ点だ。これはレースウィーク中に複数のコンフィギュレーションを比較テストする準備が整っていることを意味する。F1チームは新パーツをサーキットへ持ち込み、実際の走行条件の下でデータを収集することで性能を評価する。テレメトリーやタイヤ挙動、空力効率などを分析しながら、最も効果的な仕様を見極めていく。重要なレースウィークでこの規模のテストを行うという事実は、このコンセプトに対するチームの高い自信を示しているとも言える。上海サーキットが試金石に上海インターナショナルサーキットは、空力パーツの評価に適したコースとして知られている。テクニカルコーナーと1km以上に及ぶ長いバックストレートを併せ持つレイアウトは、ダウンフォースとドラッグのバランスを確認するには理想的な条件だ。もしマカレナウイングが狙い通りの性能を発揮すれば、コーナリング性能を高めながら直線速度を犠牲にしない空力バランスを実現できる可能性がある。中国GPの走行が始まれば、この新しい空力コンセプトが実際にマシンへ装着されるのか、そしてそれがどれほどのパフォーマンス向上をもたらすのかに、パドック全体の視線が集まることになりそうだ。