スクーデリア・フェラーリは、F1イギリスGPでルイス・ハミルトンのマシンのGPS信号を失い、「完全に視界を失っていた」と明かした。シルバーストンでのハミルトンの連続表彰台記録は、サウバーのニコ・ヒュルケンベルグがキャリア初のF1表彰台を獲得し、ハミルトンが4位に終わったことで幕を閉じた。
ハミルトンは41周目にスリックタイヤへと交換したが、アウトラップでターン3と4を直進してしまい、そこで数秒を失った。一方のヒュルケンベルグは1周遅れでピットインし、そのまま前を維持して40歳の英国人ドライバーの母国表彰台を阻んだ。レース後、クラッシュネットなどのメディアに対してフェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、ハミルトンのマシンにトランスポンダーの問題が発生し、チームが走行位置を把握できなかったことを明かした。バスールはハミルトンの2回目のピットストップについて、「今振り返れば、たぶん1周早すぎた。というのも、彼はターン3と4で直進してしまい、そこで4~5秒は失っていた」と説明した。「でも、アロンソはその前にピットインしていて、一部のコーナーではインターで走る全ドライバーよりも速かった」「こういう状況では、もし待ってしまえば他のドライバーが先に動いて、それはもう遅すぎるということになる。そしてレース後にはいつも『最初のピットストップは1周早ければよかった、2回目は1周遅ければよかった』と言うものなんだ」「でも正直に言えば、ピットウォールで決断しなければならない立場にあるときは、常に難しい。なぜなら、常に先を読んで動かなければならないからだ」「さらに言うと、我々はレース中ずっとルイスのGPSを失っていた。つまり、完全に視界を失っていて、どこに彼がいるのかまったくわからなかった。本当に難しい状況だった」フェラーリが苦戦した理由は?フェラーリはウェットコンディションでのパフォーマンス向上を狙って高ダウンフォースのセットアップを採用していたが、両ドライバーともSF-25が非常に扱いづらいと訴えていた。ハミルトンはコプスでワイドになったあと、「すごくスナッピーだ」と無線で不満を述べ、シャルル・ルクレールはスタート前にスリックタイヤへの交換を決断したものの、その賭けが裏目に出て14位でレースを終えた。競争力を欠いた理由を問われたバスールは「マクラーレンと比べて我々は1段階劣っていた。我々はマックスよりもずっと多くのダウンフォースを積んでいたが、今日に関してはマックスよりも速かった」と答えた。「今日の主な問題は純粋なペースではなかったと思う。少なくともシャルルについては、スリックタイヤに変えた時点で、レースは1周目にして終わってしまっていた」「今日一番の問題は、ダーティエアのなかではオーバーテイクに非常に苦労したことだ。前のマシンを抜くためにタイヤライフを余計に使ってしまい、時には10周も費やしてしまった。そのあとでようやくペースが上がった」「戦略的にも難しい週末だった。今日のレースではランドとニコ以外、全員が何らかの後悔をしていると思う」「でも、レースを終えたあとはいつも『あと1周早くピットインしていれば、1周遅ければ』という思いが残る。だからこそ、予選とチャンピオンシップに集中するべきだ」