フェラーリは、F1アメリカGPの決勝で意図的にフェリペ・マッサにギアボックスペナルティを科し、フェルナンド・アロンソをクリーンな側のグリッドに並ばせた戦略について自己弁護した。タイトル争いをしているフェルナンド・アロンソだが、予選では偶数グリッドの8番手に沈んだ。新しいサーキットであるサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、奇数グリッドと偶数グリッドの差が大きく、事前のスタート練習では3つポジションを落とす可能性が予想された。
一方のフェリペ・マッサは、アロンソより前の6番グリッドを獲得。そのため、フェラーリは、フェリペ・マッサのギアボックスの封印シールを破ることによって故意に5グリッド降格ペナルティを受け、フェルナンド・アロンソを7番グリッドに昇格させた。この戦略が功を奏し、フェルナンド・アロンソは1コーナーで4番手に浮上、最終的に3位でフィニッシュして、最終戦F1ブラジルGPまでタイトルの望みを繋げた。F1アメリカGPでの行為が、規約の“スピリット”の範囲内かと質問されたステファノ・ドメニカリは「そうだ。そうでなければやっていない」と主張。「簡単に装うことはできたが、我々は完全な透明性を好んだ。他のチーム代表があれを正しい判断ではないと言ったら、それは嘘だ」「レースのスタート前にグリッドの左右でグリップレベルに大きな違いがあるのはわかっていたし、我々がチャンピオンシップを最終戦まで持ち越すためには最初の数周で先頭に近づくことが非常に重要なのはわかっていた。そうでなければレースは終わっていただろう」「結局のところ、後から考えても正しい戦略だった。フェラーリというチームで働くからには、チームが決定の中心にいることを知るべきだ。ドライバーとチームはそれを尊重している」「フェリペには感謝しなければならないし、彼はこの週末ずっと優れた走りを見せた。これはブラジルに向けてポジティブな要素だ。ドライバー選手権でベッテルに挑戦するためには2人のドライバーに素晴らしいレースをしてもらう必要があるからね」 マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュは、自分なら同じことをしたかをとの質問に「そうは思わない。かなりタフな行為だ」とコメント。「チームとチーム代表は自分たちでプログラムの進め方を決めることができるが、彼らがフェルナンドに注力しているのは明らかであり、公平に見てもフェルナンドを中心に動いている。フェルナンドが私のチームにいた時、我々がそうしなかったがためにフェルナンドが去っていったことを忘れてはならない。彼らには彼らの判断があり、私は誰の行動も批判するつもりはない」 だが、マーティン・ウィットマーシュは、その結果として自分たちのドライバーが汚れた側のグリッドになったら“頭に来た”だろうと述べた。 「何よりも厳しいのは、それによって多くの人々が遅い側のグリッドになってしまったことだ。自分が速い側のグリッドを獲得していたのに、それによって遅い側になっていたらとても腹が立っただろう」レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは「レギュレーションの範囲内だ。戦術的な判断だ」とコメント。「彼らはそうすることによって彼を右側のグリッドに動かした。それは彼にとってとてもうまくいった。ルールの範囲内だし、フェリペにとってはつらかっただろうが、最優先はされるのはフェルナンドなんだ」ステファノ・ドメニカリは、レッドブルがマーク・ウェバーのギアボックス交換をする可能性があったため、決定を遅らせたことを明らかにした。「戦略的な決定の一部だ。ゲームの一部だ」とステファノ・ドメニカリは述べた。