2026年F1マイアミGPの週末で、FIAが導入した新たなエネルギーマネジメント調整の効果が見え始めた一方、ドライバーたちは依然として「全開アタックを自由にできない」という問題に直面している。特に議論の中心となっているのが、いわゆる“スーパークリッピング”だ。これはストレート終盤で電力エネルギーが尽き、急激に加速を失う現象で、2026年F1マシンの特徴的な弱点として開幕当初から指摘されてきた。
マイアミではエネルギー回生量(ハーベスト)制限が引き下げられたことで一定の改善が見られたものの、ドライバーたちは「問題の本質は変わっていない」と語っている。“速く走るほど損をする”奇妙な予選アタックマクラーレンのオスカー・ピアストリは、F1がスーパークリッピング緩和に向けて前進したことは認めつつも、新世代PU特有の問題は残ったままだと説明した。「ハーベスト制限を下げたことで、スーパークリッピングが少し減ったのは良かった」「でも他の問題はほとんど同じままだ」ピアストリが特に問題視したのは、“速く走ろうとしすぎると逆にエネルギーを使いすぎてしまう”という現象だった。「エネルギーを大量に使いすぎないように、かなり慎重に速く走らないといけない」「改善された部分もあるけど、まったく変わっていない部分もある」本来、予選アタックは限界まで攻め込むものだ。しかし2026年F1では、アクセル操作やエネルギー消費を細かく管理しなければならず、“全開で攻めるほど最後に失速する”という逆転現象が起きている。ピアストリを襲った“予想外の電欠”ピアストリは土曜予選Q3最後のアタックで、予期していなかった大規模なスーパークリッピングに見舞われたことを明かした。「本当にかなり奇妙だった」「Q1ではいくつか想定通りに機能していない部分があった。Q2はかなり良かった」「でもQ3では最初のラップが良くなくて、2回目のラップではいくつか悪かった区間があり、その一方で予想していなかった場所で大きなスーパークリッピングが起きた」これは2026年F1マシンの難しさを象徴している。ドライバー自身が「どこで電力が尽きるか」を完全には把握し切れず、ラップ中に突然パワーを失うケースが発生しているからだ。2026年F1では電動比率が大幅に高まり、PUマネジメントがラップタイムへ直接的に影響する構造となった。結果として、ドライバーの“攻め方”そのものが従来とは別物になっている。ランド・ノリス「早く踏むと逆に罰を受ける」ランド・ノリスも同様の問題を指摘した。特に問題となっているのはコーナー出口でのスロットル操作だ。通常なら早くアクセルを踏めばタイム向上につながるが、2026年F1ではその結果としてエネルギー消費が増え、ストレート後半で失速する場合がある。ノリスは、現在のPU制御が「早くアクセルを踏んだドライバーを罰している」と説明した。これは単なるドライバビリティの問題ではなく、“どこで電力を使うか”という戦略ゲームが予選ラップそのものに組み込まれていることを意味している。ウイリアムズF1でも発生した“数千分の操作差”この問題はトップチームだけの話ではない。ウイリアムズでは、アレクサンダー・アルボンがチームメイトのカルロス・サインツJr.より約0.4秒遅れて予選を終えたが、その原因は“わずかなスロットル操作の違い”だったという。ジェームス・ボウルズは次のように説明した。「アレックスについては、スタート/フィニッシュライン上の速度の一貫性に苦しんでいた」「バックストレートに向けてすべてを整えるため、ドライバーには非常に多くの操作を要求している」「それらが完璧に決まると性能差は極端になる」さらにボウルズは、アルボンがトラフィックの影響を受けた結果、わずかなスロットル操作変更によってラップ開始時点で数十分の数秒を失ったと明かした。「ほんの小さなスロットル操作の違いによって、ラップ開始時点で数十分の数秒を失った。それによって本来いるべきポジションを失った」2026年F1は“ドライバーの直感”だけでは戦えない2026年F1レギュレーションでは、PUの電動化比率拡大によってエネルギーマネジメントが極端に重要になった。その結果、従来のように「限界まで攻める」だけでは速く走れず、“どこで踏むか”“どこで回生するか”“どこで電力を温存するか”まで含めて1周を設計しなければならなくなっている。マイアミで導入されたハーベスト制限変更によってスーパークリッピングは多少改善された。しかしドライバーたちの証言を見る限り、2026年F1の予選は依然として「PUとの戦い」が続いている。
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