2026年F1マシンは新レギュレーションにより多くの技術変更が導入されたが、ファンにとって最も分かりやすい変化のひとつが「新しいライトシステム」だ。各マシンにはリア中央のライトに加え、ミラー付近のサイドライトが追加され、コース上で点滅する光によってマシンの状態や安全情報が伝えられる仕組みになっている。では、このライトは具体的に何を意味しているのか。
リア中央ライト(Rear Impact Structure)の役割2026年F1マシンのリア中央には楕円形のライトが設置されており、通常は赤色で点灯する。これは「Rear Impact Structure(RIS)」と呼ばれ、主にパワーユニットのエネルギー状況を示す役割を持つ。例えばチームがバッテリー温存のため最大出力を下げた場合、その状態が点滅パターンで表示される。■ 点滅1回MGU-Kが最大350kWより少ない電力を供給している状態■ 点滅2回MGU-Kが電力供給を停止している状態■ 素早い連続点滅内燃エンジンが作動したままMGU-Kが充電中この表示により、後続ドライバーは前方マシンのエネルギー状況をある程度把握できる。さらにRISライトはエネルギー表示以外にも、安全面でさまざまな役割を持つ。■ セーフティカー導入■ ダブルイエロー区間■ コース上でエンジン停止■ インターミディエイト/ウェットタイヤ装着といった状況を示す信号としても利用される。また2026年仕様のRISは約180gの軽量化が行われた新設計で、後方カメラも内蔵されている。さらに色を変更できる仕様となり、今後はより多くの情報を後続車に伝えることが可能になる。現在は「スーパーライセンスを完全取得していないドライバー」の場合に青色で表示される仕組みも導入されている。これはルーキー走行が義務付けられているFP1で特に有効とされている。リアウイング端のライトリアウイングのエンドプレートにもライトが装着されており、中央のRISライトと同じ点滅パターンを表示する。こちらは常に赤色で表示され、後方のドライバーからより見やすくするための補助的役割を担っている。ミラーの新サイドライト2026年マシンでは新たに「ラテラルセーフティライト」が追加された。これはミラー部分に設置されており、横や前方からでも見える位置に配置されている。このライトは以下の状況で点灯する。■ スピンや事故が発生した場合■ マシンが完全停止した場合■ 車速が20km/h未満になった場合色はアンバー(オレンジ系)で表示され、レーススタート時にギアが入っていない状態でも点灯することがある。ドライバーがギアを入れて発進すると消灯する仕組みだ。このサイドライトはドライバー会議での提案を受けて導入された。雨天時などでマシンが横向きに停止すると、通常のリアライトが見えなくなることがある。その場合でも、側面のライトがあれば接近するドライバーが状況を把握しやすくなるためだ。2026年F1は“ライトで情報を伝える”時代へ2026年の新ライトシステムは、エネルギー管理の複雑化と安全対策の強化という2つの目的から導入された。とくに電動出力が350kWに拡大された新世代パワーユニットでは、エネルギーの使用状況がレース戦略に大きく影響する。そのため、視覚的な情報共有が重要になっている。またスピンや停止したマシンを素早く認識できるようにすることで、悪天候時の安全性向上も期待されている。オーストラリアGPで幕を開ける2026年シーズンでは、サーキットのあらゆる場所でこの新しいライトが点滅する光景が見られることになる。
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